恐るべきカーブフィッティングの罠(その4)【夢幻】



【お知らせ】
下記リンクのメルマガを中心に情報を更新していく予定です。
無料ですのでぜひご登録いただけるとありがたいです

西村剛の投資戦略メルマガ【無料】




 

夢幻です。

前3回にわたりカーブフィッティングの解説をしましたが、

今回も続きをやっていきます(笑)

前回までの説明の振り返りですが〇〇ショック、つまり今年のコロナショックのような数少ない暴落の事象は検証上ではパラメータ選定で容易に避ける事が出来るのでした。

これは、検証上の評価(数字)を良くしようとすればするほど、起こりやすく、割と身近に起こる事です。

何故なら、検証上では『結果を自分で選ぶことが出来るから』です。

殆どの人は結果を見て数値が改善されていればそれを選びますし、
悪くなればやり直します。

このロジックにより検証上では、今回のような”致命的な損失”を簡単に排除できるので、簡単にカーブフィッティングが起こります。

結果、そのような暴落が避けられる前提でリスクが過小評価されたストラテジーを運用するとどうなるか・・・

暴落が実際に起きた場合、平均損益が大幅に目減りしたり、最大ドローダウンを更新したりといった運用上の問題が起こるわけです。

前回までは私が作ったサンプルデータで解説を行いましたが、
今日は実データを参照してみたいと思います。

上の表をご覧ください。

これは両方とも買いのストラテジーです。

左が大型株(東証1部銘柄)を対象としたもの、右が小型株(新興銘柄)を対象とした検証結果です。

仕掛けとしては同じような条件で仕掛けになっています。

その全体のトレード要素を
60日間の移動平均乖離率の数値ごとに
トレード回数及び、平均損益を示しています。

大型株のトレード回数は約216000回、平均損益は0.07%です。

小型株のトレード回数は約11000回、平均損益は0.39%です。

棒グラフは青がプラス、赤がマイナスの数値、ピンクで塗りつぶしているところは平均損益が全体の平均損益以上の数値の部分です。

全体としては、

乖離率が中央の0付近に近づくほど平均損益は下がり(&トレード回数は多くなる)
乖離率が上下に離れるほど平均損益が高くなる(&トレード回数は少なくなる)

という傾向が確認出来ます。

ここで、黄色で囲った部分がイレギュラー的にマイナスの数字となっています。

これが、今回挙げた数少ない〇〇ショックといった暴落で平均損益が大幅にマイナスになっている部分です。

すなわちこの辺りの数値で移動平均線乖離率のパラメータを仕切るとカーブフィッティングが起こります。

ところで、〇〇ショックというと数年に一回レベルの事象になりますが、実はもっと頻繁に起こる事象があります。

この表を大型株と小型株で見比べてみると、ピンクの塗りつぶした部分が大型株は殆ど途切れていないのに対し、小型株は途切れ途切れになっている事が分かります。

つまり、小型株のほうが平均損益のバラつきが大きいのです。

で、なぜこういった事が起こるかというと、小型株の方が、値動きが荒いため固有の材料に過剰に反応するケースが多いのです。

これは10年レベルに数回しか起きないような例えば+50%、-50%といった外れ値が1つあるだけで数値に大きな歪みが起こってしまいます。

〇〇ショックは市場全体の動きですが、
新興銘柄においては、個別銘柄で同じような暴落、暴騰などが起こっています。

つまり、もっとミニマムな事象で、平均損益が頻繁に歪められているので、同じように数値を細かく検証し、パラメータを絞り込んでいくとカーブフィッティングが起きます。

しかも、

パラメータを絞り込めば絞り込むほど
多くのパラメータを加えれば加えるほど

どんどん実態とはかけ離れた検証結果になります。

よく小型株の方が平均損益が高いストラテジーを作りやすいという話を聞いたことがありますが、実はこんな背景があったりするのかもしれません。

私は、新興銘柄の買いのストラテジーは最も難易度の高い部類であると認識しています。

この事から、カーブフィッティングを避ける為に

・傾向を確認したり、おかしな歪みがあれば、その背景を確認する。
・小型株ではなく、大型株を狙う。
・大まかな傾向を掴み、パラメータを絞り込み過ぎない
・複数のパラメータを使わず、最低限のパラメータを用いる

この辺りに気を付けてストラテジーを作ってみると良いでしょう。

では次回お楽しみに!

ー夢幻

【無料】システムトレードの検証ができる株式投資ソフトのフリー版を無料プレゼントします。こちらをクリックください!


The following two tabs change content below.

夢幻

平均年利100%以上を叩き出し、今なお資産を増加し続ける現役の専業システムトレーダー。 会社員時代は投資教育会社の統括マネージャーとして、成果を挙げた個人投資家やプロトレーダー、ファンドマネージャーなどに数多く会い、様々な実践トレードの手法を学ぶ。 斉藤正章氏や西村とも古くから交流があり、「システムトレードの達人」を開発当初から愛用している。 退職後は、当時の資金500万円のうち100万円を設備投資に使い、資金400万円で専業トレーダーに転身。 トレードの利益から生活費を捻出するため、当初は、資産がなかなか増えていかない状況が続くも、「システムトレードの達人」を使い独自の投資手法を構築することで、本格的にトレードを開始した2013年以降は年利回りが50%下回ることがないという安定した実績を残している。