システムトレーダー「上級者」が失敗する2つの法則性とは?【田村祐一】



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先週のメールマガジンでは、
システムトレーダーの失敗の法則性についてお話しました。

前回は、主に「初心者」の失敗の法則性を話したので、
今回は「上級者」の失敗の法則性について話したいと思います。

【上級者の失敗の法則性】ですが、
以下の2つが挙げられます。

①条件式の複雑化
②戦略過多

それぞれについて、以下で詳しく解説します。

「①条件式の複雑化」ですが、

システムトレードの上級者は、
それなりに売買ルールの検証回数をこなしていることで、

売買ルールの成績を改善する条件式や設定を
見つける技術が高いです。

条件式を足したり、細かい調整を行えば行うほど、
売買ルールの成績が良くなるので、
ドンドン条件式を複雑化させていきます。

ただし、複雑化をやりすぎると、
「カーブフィッティング(過剰最適化)」という問題が発生します。

過去の株価データをもとに、
システムトレーダーは売買ルールを作成します。

過去の株価データは、あくまでも過去のデータであり、
当然条件式を足せば足すほど、成績は良くなります。

なぜなら、細かく設定すればするほど、

過去の株価データで損失を被った
不都合なトレードを除外できるからです。

当然ですよね。

ただし、条件式を細かく設定したからと言って、
将来のトレードで同様になるかというと、そうではありません。

細かく設定すればするほど、

バックテスト結果は超きれいな右肩上がりの資産推移でも、
実際のトレードではそこまで成績は上がりません。

過去の不都合なトレードを、無理やり細かい条件設定できれいにしても、
将来に不都合なトレードは消すことはできません。

その結果、バックテスト結果と実運用の成績に乖離が生じるのです。

まだ、「利益が思ったよりも少ない」ということならましですが、
「損失になる」というリスクもあります。

上級者の人ほど、売買ルールの成績をきれいにしたいという欲求が強く、
条件式の設定を細かく設定しがちです。

私も10年以上システムトレードを実践してきました。
そして、数多くのシステムトレーダーを育成してきました。

だからこそ断言できます。

シンプルな売買ルールほど、実運用に強いです。

シンプルと言っても、どの程度がシンプルなのかと言われると
売買ルールによって変わるので断定が難しいところですが、

少なくとも、一つの戦略に

10個以上の条件式が設定されている場合には、
カーブフィッティングの可能性が黄色信号ですね。

15個以上ある場合には、
カーブフィッティング赤信号でしょう。

上級者の方ほど、検証に時間を割いて、
良いルールを作ろうとしているにも関わらず、

見た目が良いだけのダメなルールを作ってしまうという罠に陥ります。

私も、なるべくそういう傾向があれば指摘するのですが、
上級者なだけに、自分のルールに自信があるのが
なかなか受け入れてくれません(苦笑

あとで失敗して、初めて気付く方が多いですね。

かくいう、私も過去に失敗しているのですが、、、

だからこそ、他の人には、私の失敗経験をもとに、
同じミスは繰り返してほしくないですね。

次に、「②戦略過多」についてですが、

これは、初心者の方と真逆の失敗あるあるです。

上級者は、必要な戦略が一通りそろっており、
そこからさらに新しい戦略をどんどん追加しようとします。

上級者は一人で売買ルールをどんどん量産できるので、
追加すればするほどバックテスト結果上の運用成績があがっていきます。

ただし、売買ルールの量産が原因で、
実運用が失敗するケースがあります。

実運用に使用する売買ルールの数が多すぎると、
導入しているすべての戦略に十分なお金が回らないリスクが出てきます。

具体例を挙げて説明しますね。

・暴落時用の逆張り(いわゆる、斉藤式逆張り)
・逆張り
・押し目買い

の3つの戦略があったとしましょう。

この3本の売買ルールを用意すれば、
暴落相場や急落相場が来ても利益を出すことができます。

初心者の方は、とりあえず
この3本の売買ルールはしっかり用意しましょう。

さて、上級者のシステムトレーダーは、
この3つの戦略を当然持っています。

それどころか、それぞれの戦略を、
少し条件を変えて、複数本保有しています。

・暴落時用の逆張り×2
・逆張り×3
・押し目買い×3

といった感じです。

複数本保有することで、さまざまな急落相場や
暴落相場で安定的に利益を上げることができます。

このやり方自体には全く問題はないし、
ぜひやるべきと言えます。

ただし、このやり方を正しくやらないと、
大きな損失を被るリスクが出てきます。

暴落相場が発生した場合、最も利益が期待できるのは、
「暴落時用の逆張り」です。

このルールに運用資金がしっかり回せることができれば、
多くの投資家が損失を被る暴落相場でも利益を上げられます。

しかし、売買ルールが多すぎると、
この「暴落時用の逆張り」に資金が回る前に、
運用資金が埋まってしまうリスクが高くなります。

浅い下落で買い付けする「押し目買い」で
運用資金の大半が埋まってしまうと、

暴落のピークに至るかなり前の段階で
何も買い付けすることができなくなってしまいます。

その結果、暴落に至る前に買い付けした銘柄の株価が、
暴落のピークに連動して急落するのを

ただただ指をくわえてみているしかできなくなります。

それでは、システムトレーダー以外の
裁量トレーダーと同じですよね。

このように、戦略が多すぎると、
本来機能してほしい売買ルールに
適切な資金が回らないという問題が発生します。

これ、結構致命的な問題なんですよ。

戦略をたくさん作ることは決して悪いことではないですが、
戦略をたくさん作るほど、その中に微妙なルールが混じります。

その微妙なルールに運用資金が回りすぎると、
有効性が高いルールにお金が回らないリスクが高くなります。

「①条件式の複雑化」の話と複合すると、

見た目が良いだけで実際の成績が伴わないルールにお金を回し、
見た目も実績も良いルールにお金が回らない

という最悪のケースが生まれます。

もし、上級者の方で、自分の戦略が少し多すぎるなと感じた場合には、
一度マルチストラテジーの戦略の間引きを行ったほうが良いです。

上記2点が、【上級者の失敗の法則性】です。

初級者の失敗の法則は、
単純な技術不足からくる問題なので、
改善すれば安定した成績を出せるようになりますが、

上級者の失敗の法則性は、
なかなか自分自身では気づきにくい問題なので根が深いです。

しかも、頑張っているからこそ失敗するので、
失敗した時のショックは非常に大きいです。

本当に悲しい話なので、
ぜひ、これを見てくれた方だけでも、

ご自身の売買ルールの見直しをしてみてください。

ー田村祐一

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田村 祐一

統計データを重視したシステムトレードとファンダメンタルを組み合わせて銘柄分析を行う。株価を大きく動かすイベントに合わせて銘柄を売買する「イベント投資」にも注力。