8月最初の取引は607円安。でも下げの「中身」は悪くない【西村剛】

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西村剛です。

8月3日(月)、日経平均は前営業日比607円安の63,754円で引けました。8月最初の取引日は反落スタートとなりました。

前週末7月31日に2,494円高という大幅高で7月を締めくくったばかりです。その翌営業日に607円安。数字だけ見ると「また下げか」と感じるかもしれませんが、8月3日の下げの中身を見ると、必ずしも悲観する内容ではありません。順番に整理します。

● なぜ8月最初の取引で下げたのか

8月3日の下落には、はっきりした理由が3つあります。

1つ目は、単純な反動です。前週末に2,494円も上げたばかりですから、利益確定の売りが出るのは自然な動きです。2日間で見れば、まだ大きくプラスを保っています。

2つ目は、円高の進行です。7月31日に日米両政府が協調して円買いの為替介入を実施しました。この影響で今日は円高が一段と進み、1ドル156円台まで円が買われました。円高は輸出企業の採算を悪化させるため、トヨタ(7203)が103円安、スズキ(7269)が140円安と、自動車株に売りが広がりました。3日の下落業種のトップに「輸送用機器(自動車)」が入っているのはこのためです。

3つ目は、米金利の上昇です。先日のFOMCでのタカ派的な発言を背景に米長期金利が上昇しており、これが割高感の意識される株の重しになりました。

この3つが重なって、日経平均は終日軟調に推移しました。

● それでも「中身は悪くない」と言える理由

ここからが今日の本題です。607円安という数字の裏で、私が「悪くない」と見ている点が2つあります。

1つ目は、キオクシア(285A)の動きです。

7月31日の大引け後に発表されたキオクシアの決算は、過去最高益ながら市場予想にはわずかに届かないという内容でした。「好決算でも売られる」パターンが続くのか、それとも売られすぎの反動で買い戻されるのか。8月3日が、その決算を織り込んだ最初の取引でした。

結果は、+2,660円の49,160円と堅調でした。決算にわずかな物足りなさはあったものの、8,000億円の自社株買いと1対3の株式分割という株主還元策が評価され、買いが優勢となりました。今月の急落の震源地だったキオクシアが下げ止まったことは、相場全体の底入れを考えるうえで重要なサインです。ソフトバンクG(9984)やTDK(6762)も上昇し、半導体の一角は3日の相場を下支えしました。

2つ目は、下げが「特定要因」に限られていた点です。

3日の下落の主因は円高による自動車株安と、急騰の反動です。つまり、業績が悪化して売られたわけではありません。むしろ精密機器・空運・金属製品といった業種は上昇しており、市場全体が総崩れになったわけではないのです。

● 気をつけたいのは「円高」の行方

一方で、 3日の相場が示した新しいリスクもあります。円高です。

7月まで、日本株は円安(一時163円台)を追い風に、輸出企業の好業績が相場を支えてきました。ところが7月31日の協調介入で流れが変わり、今日は156円台まで円高が進みました。

もし円高がさらに進めば、これまで相場を引っ張ってきた自動車・電機・精密といった輸出企業の業績見通しに影響が出ます。 3日のトヨタ・スズキの下落は、その懸念が最初に表れたものと見ることができます。

7月は「金利」と「半導体決算」が主役でしたが、8月は「為替(円高)」が新たな変数として加わりました。介入後の円相場がどこで落ち着くか、日銀が追加利上げに動くかどうかが、8月相場の大きな注目点になります。

● 8月相場の入口で、どう構えるか

3日の607円安は、7月末の急騰の反動と円高という、いわば「消化しておくべき下げ」でした。パニックになる必要はありません。

大切なのは、ここでも7月に学んだ視点を保つことです。日経平均の数字だけを見て一喜一憂せず、「何が下げて、何が上がったのか」という中身を見ること。 3日で言えば、円高で自動車が下げた一方、決算を通過したキオクシアなど半導体の一角は買い戻された。この選別を冷静に見極めることが、8月相場を乗り切る鍵になります。

今週も国内企業の決算発表が続きます。そして円相場の動向次第で、相場の風向きは変わります。焦らず、業績が本物の銘柄を見極めながら、8月相場に臨んでいきましょう。

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西村 剛

Yahoo!ファイナンス 株の達人・証券アナリスト兼ファンドマネジャー・AllAboutガイド。 現在、30名の一流システムトレーダーを育成する特別プログラム講師に従事 (過去にも120名以上が一流システムトレーダーとして成長した実績がある) システムトレードを、全くの初心者でも分かりやすく、やさしい言葉を使うことから、受講生の成長度の高さや信頼を多く集める、教え上手な専門家。