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西村剛です。
8月5日(水)、日経平均は前日比2,342円高の66,300円で引けました。大幅続伸で、節目の66,000円台を回復。7月23日以来、約2週間ぶりの高値です。
8月4日に私は「円高が新常識になり、輸出企業の逆風になる」とお伝えしました。ところが、そのわずか翌日にこの急騰です。相場は生き物だと、あらためて痛感させられました。今日は、この急変の中身を正直に解説します。
● なぜ、たった1日で2,342円も上がったのか
5日の急騰には、複数の好材料が一気に重なりました。順に見ていきます。
最大の起点は、4日の米国市場です。NYダウが907ドル高の54,085ドルと大幅に上昇し、連日で過去最高値を更新しました。ナスダックも671ポイント高です。そして注目すべきは、半導体株で構成されるSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が5%を超える上昇を見せたことです。
7月にあれほど売られたSOX指数が、8月に入って力強く反発している。この米国の半導体株高が、今日の東京市場に直接波及しました。海外投資家の買いが半導体関連を中心に流れ込み、イビデン(4062)、SBG(9984)、キオクシア(285A)、アドバンテスト(6857)といった銘柄が軒並み急伸しました。
2つ目の材料は、原油安です。中東のホルムズ海峡の航行が正常化に向かうとの見方から、4日のニューヨーク原油先物が大幅に下落しました。ベッセント米財務長官が対イラン和平合意に楽観的な見解を示したことも好感されています。原油安はインフレ懸念を和らげ、金利の低下にもつながるため、株式市場にとって追い風です。
3つ目は、韓国のKOSPI(総合株価指数)などアジア株全体の上昇です。これに歩調を合わせて、短期筋による株価指数先物への買いが強まる場面もありました。
● 「円高警戒」はどうなったのか
ここが、昨日の私の解説との関係で、正直にお話ししなければならない点です。
私は7月31日の日米協調介入をきっかけに「円高が進み、輸出企業の逆風になる」とお伝えしました。この見立ての方向性そのものは間違っていません。実際、今日も海外事業の利益が多い商社株、三井物産(8031)や三菱商事(8058)は下落し、4日に決算を発表したトヨタ(7203)も引き続き売られています。円高の影響は、確かに一部の銘柄に残っています。
ただ、5日の相場では、その円高への警戒を「米国の半導体株高」という、より強い材料が上回りました。しかも為替相場自体も、協調介入後に進んだ円高が5日は修正され、1ドル157円台まで円安・ドル高方向に戻しています。円高の勢いが、いったん一服したのです。
これが相場の難しさであり、面白さでもあります。ある日は「円高」が最大のテーマになり、翌日には「米国株高」がそれを打ち消す。どの材料が主役になるかは、日によって入れ替わります。だからこそ、一つの見方に固執せず、その日その日で「今、市場が何を最も重視しているか」を見極めることが大切なのです。
● 今日の相場で見えた「本当の主役」
今日の急騰から、一つはっきりしたことがあります。
今の相場の本当の主役は、やはり「半導体」だということです。
7月にあれほど売られ、「好決算でも売られる」と言われ続けた半導体株。しかし、その半導体が下げ止まり、米国のSOX指数が反発に転じた途端、日本株全体がこれだけ大きく反応しました。日経平均が半導体の値がさ株に大きく左右される構造は、7月も8月も変わっていません。
7月の下落局面では、この「半導体依存」がマイナスに働きました。半導体が売られると日経平均が大きく下がったからです。ところが今日は、その同じ構造がプラスに働いています。半導体が買われれば、日経平均は大きく上がる。諸刃の剣である「半導体依存」が、5日は良い方向に出たのです。
● この急騰を、どう受け止めるか
ここで冷静になるべき点もあります。5日の2,342円高は、素直に喜んでよいものか、それとも警戒すべきものか。
私の見方は「歓迎しつつ、浮かれない」です。
理由は、今日の上昇が海外投資家の先物買いと、米国株高への反応という「外部要因」が中心だからです。日本企業自身の業績が急に良くなったわけではありません。外部要因で急騰した相場は、外部要因が変われば急落するリスクも同じだけ抱えています。7月にそれを嫌というほど見てきました。
また、5日に買われたのは半導体中心で、商社やトヨタのように円高の影響を受ける銘柄は下げています。全面高ではなく、あくまで「半導体主導の上昇」です。この物色の偏りは、7月から続く「二層構造」がなお生きていることを示しています。
● 8月相場、どう構えるか
今週も決算発表が続きます。5日のような相場では、決算の良し悪しに加えて、「その銘柄が今の相場の主役である半導体・AI関連に近いか」「円高・円安のどちらに強いか」という2つの軸で見ることが有効です。
そして何より、昨日「円高」、今日「米国株高」と、わずか1日で相場の主役が入れ替わったことを忘れないでください。今の相場は、一つのテーマが長続きしません。だからこそ、日々の値動きに一喜一憂して飛び乗ったり投げたりするのではなく、自分の投資ルールを持ち、業績が本物の銘柄を軸に据えることが、これまで以上に重要になっています。
急騰した日こそ、冷静に。浮かれず、しかし悲観もせず、8月相場に着実に臨んでいきましょう。
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西村 剛
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