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西村剛です。
9月1日(火)、日経平均は前日比96円安の66,215円で引けました。小幅な続落です。
ただ、この日も8月31日(月)に続いて、朝方に大きく下げてから回復するという展開になりました。9月1日の日経平均は、寄り付きから売られ、一時は735円安の65,576円まで下落しました。それが売り一巡後に急回復し、前日終値近くまで値を戻して引けています。2営業日続けて「朝は大きく下げ、その後に戻す」という値動きが繰り返されました。そして、日経平均が小幅続落した一方で、TOPIX(東証株価指数)は9日続伸となりました。この日の相場を読み解いていきます。
● 9月1日、なぜ朝方に大きく下げたのか
9月1日の朝方の下落には、3つの要因が重なりました。
1つ目は、中東情勢の緊迫化です。対イラン紛争が激化しているとの見方から、原油価格が上昇しました。原油高は、燃料や原材料のコスト増を通じて、企業業績や景気の重荷になります。
2つ目は、日米の長期金利の上昇です。8月28日のウォーシュFRB議長の講演で示された利上げ警戒の姿勢が、引き続き米金利の先高観につながっています。日本でも、日銀の追加利上げ観測を背景に金利が上昇しています。金利上昇は、PER(株価収益率)の高い半導体・ハイテク株にとって逆風です。
3つ目は、前日の米国株安です。中東情勢を受けて、前日の米国市場が下落した流れが、9月1日の東京市場に波及しました。
これらが重なり、9月1日の朝方はAI・半導体関連を中心に売りが先行し、日経平均は一時735円安まで下げました。原油高、金利上昇、中東不安という、8月後半から相場の重しになってきた要因が、月替わりでも引き続き相場を圧迫しています。
● なぜ、また急回復したのか
ところが、9月1日も8月31日と同じく、売り一巡後に相場は下げ渋り、急速に値を戻しました。735円安まで下げた日経平均が、前日終値のすぐ近く、96円安まで戻したのです。
この2日連続の「朝安・急回復」は、今の相場の性質をよく表しています。原油高や金利上昇といった悪材料で朝方は売られるものの、その水準では「買いたい」という投資家が待ち構えている。だからこそ、下げたところで買いが入り、相場が戻る。売られすぎればすかさず買いが入る、この需給の強さが、相場の底堅さを支えています。
8月31日は朝方1,500円超安から高値引け、そして9月1日は735円安から前日終値近くまで回復。2日続けて、朝の悲観が午後には和らぐ展開でした。悪材料はあるものの、それで相場全体が崩れ落ちるほど地合いは弱くない。この点は、冷静に評価しておくべきです。
● TOPIXの9日続伸が示す、相場の底堅さ
9月1日の相場で最も注目すべきは、TOPIXの9日続伸です。
前日8月31日にTOPIXが8日続伸したことをお伝えしましたが、9月1日はそこからさらに上昇し、9日連続の上昇となりました。日経平均が2日続けて小幅に下げるなかで、TOPIXは上昇を続けているのです。
この違いは、これまで何度もお伝えしてきた通りです。日経平均は、アドバンテスト(6857)や東京エレクトロン(8035)といった半導体の値がさ株の影響を強く受けます。9月1日は、これらが金利上昇や中東不安を嫌気して売られたため、日経平均が下落しました。一方、市場全体を映すTOPIXは、9日続伸です。
つまり、9月1日に売られたのは半導体を中心とする一部の銘柄であり、市場全体では買われた銘柄のほうが多かったということです。業種別では、電気・ガス業や、鉱業、石油・石炭製品といった銘柄が上昇しました。原油高が資源関連にとっては追い風になり、金利上昇局面でも底堅い内需・公益といった銘柄に資金が向かった。半導体が売られる一方で、それ以外の幅広い銘柄が買われる。ここでも、日経平均とTOPIXの二層構造が続いています。
● グロース市場の下落には注意しておきたい
一方で、9月1日は気をつけておきたい動きもありました。新興企業が多く上場する東証グロース市場250指数が、1.47%安と下落したことです。
グロース市場に上場する新興企業の多くは、将来の成長を期待して買われる、PERの高い銘柄です。こうした銘柄は、金利が上昇すると、将来の利益の価値が目減りするため、売られやすくなります。9月1日にグロース市場が下げたのは、金利上昇の影響が、大型の半導体株だけでなく、新興の成長株にも及んでいることを示しています。
TOPIXが9日続伸で市場全体は底堅い一方、金利上昇に弱いグロース株や半導体株は売られる。相場の中で、金利に強い銘柄と弱い銘柄の選別が、より鮮明になってきています。
● 9月相場の入り口で、意識すべきこと
8月31日、9月1日と、2営業日続けて「朝安・急回復」を経験しました。9月相場の入り口で、意識していただきたいことを3つお伝えします。
1つ目は、朝の値動きだけで判断しないことです。ここ2日、日経平均は朝方に大きく下げましたが、いずれも午後には戻しました。もし朝の下げを見て慌てて売っていたら、その後の回復を取り逃がすことになりました。1日の値動きの中でも相場は大きく動きます。寄り付きの数字だけで一喜一憂せず、腰を据えて構えることが大切です。
2つ目は、金利上昇に対する自分の持ち株の強さを確認することです。9月1日は、金利上昇に弱い半導体株やグロース株が売られる一方、資源や内需・公益といった銘柄は底堅く推移しました。自分の持ち株が、金利上昇局面でどちらのタイプに入るのかを把握しておくことが、今の相場では特に重要です。
3つ目は、9月特有のリスクに備えることです。9月18日には日銀の金融政策決定会合が予定されており、追加利上げの可能性が引き続き相場のテーマになります。また、9月は季節的に相場が荒れやすいという経験則もあります。原油高や中東情勢といった外部要因も、引き続き相場を揺らす可能性があります。相場の底流は強いものの、こうしたリスクが控えていることを頭に入れておけば、いざ荒れたときにも冷静に対応できます。
9月相場は、原油高、金利上昇、中東不安という重しを抱えながらの船出となりました。それでも、2日連続の急回復とTOPIXの9日続伸が示すように、日本株の底流は強さを保っています。悪材料に朝方は揺れても、相場を下支えする買いは健在です。この底堅さを信じつつ、金利の動向から目を離さず、業績の裏付けのある銘柄を軸に、9月相場に落ち着いて臨んでいきましょう。
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西村 剛
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