日経平均は111円安の小幅続落。全面安の翌日に見えた、下げ止まりの兆し【西村剛】

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西村剛です。

9月3日(木)、日経平均は前日比111円安の64,214円で引けました。小幅な4日続落です。

前日9月2日は、イラン攻撃と原油急騰、30年ぶりの金利高が重なり、1,889円安という全面安でした。その翌日の9月3日がどうなるか、私も注目していました。結果は、111円安の小幅な下落。下げは続いたものの、前日のような暴落にはならず、むしろ下げ止まりの兆しも見えた1日でした。この日の相場を読み解き、ここからの相場をどう考えるべきかを整理します。

● 9月3日は「反発で始まり、小幅安で終わった」

9月3日の相場は、朝方は反発してスタートしました。

前日9月2日の全面安を受けて、さすがに売られすぎたという見方が広がり、前日に大きく下げた主力株に買い戻しが入りました。加えて、前日の米国市場でハイテク株が上昇したことも支えになりました。朝方の日経平均は、130円ほど上げる場面もありました。

ところが、その買いは続きませんでした。原油価格が高止まりするなか、インフレ懸念による金利の先高観が拭えず、次第に上値が重くなりました。日経平均は一時マイナスに転じ、その後は64,400円付近でもみ合う展開となり、最終的に111円安で引けました。

前日が1,889円安だったことを思えば、111円安という小幅な下落は、相場が落ち着きを取り戻しつつあることを示しています。暴落の翌日に、さらに大きく崩れることはなかった。この事実は、冷静に評価しておくべき点です。

● TOPIXは反発、全面安から一転

9月3日の相場で注目すべきは、TOPIX(東証株価指数)が反発したことです。

前日9月2日、TOPIXは100ポイント安と大きく下げ、9日続伸の記録が途切れました。ところが9月3日は、20ポイント高と反発しています。日経平均が小幅に続落する一方で、市場全体を映すTOPIXはプラスに転じたのです。

この違いは、9月3日に何が買われたかを見るとわかります。上昇したのは、卸売業(商社)、石油・電気・ガス業、海運業といった業種でした。一方、下落したのは鉱業、非鉄金属、食料品です。前日の全面安では33業種すべてが下落しましたが、9月3日は上昇する業種と下落する業種に分かれました。全面安から、選別的な相場へと戻ってきたのです。

とりわけ、商社株と銀行株が相場を下支えしました。これには、はっきりとした理由があります。

● 商社株を支えた「バークシャーのアベルCEO発言」

9月3日、商社株が買われた背景には、注目すべきニュースがありました。

米投資会社バークシャー・ハザウェイのグレッグ・アベルCEOが、日本の商社株への投資意欲を示したのです。バークシャーは、著名な投資家ウォーレン・バフェット氏が率いてきた投資会社で、以前から日本の大手商社に投資してきたことで知られています。そのバークシャーの新しい経営トップが、改めて商社株への前向きな姿勢を示したことで、投資家心理が上向き、三菱商事(8058)や三井物産(8031)といった商社株に買いが入りました。

もう一つの下支えが、銀行株です。金利の上昇は、多くの銘柄にとっては逆風ですが、銀行にとっては貸し出しの利ざや拡大につながる追い風です。前日から続く金利上昇局面で、三菱UFJ(8306)などの銀行株は底堅く推移しました。

全面安の翌日に、商社と銀行という「買う理由のある銘柄」に資金が向かった。これは、市場がパニックから冷静さを取り戻し、再び銘柄を選別し始めたことを示しています。

● ただし、上値の重さは変わっていない

一方で、9月3日の相場が示した課題もあります。朝方の買い戻しが続かず、結局は小幅安で引けたことです。この上値の重さの原因は、これまでと変わりません。

原油価格の高止まりです。中東情勢の不透明感が残るなか、原油が高い水準にとどまっており、インフレへの懸念が消えていません。そして、そのインフレ懸念が、日米の金利の先高観につながっています。特に日本では、物価高に対応するため、日銀が利上げのペースを速めるとの見方が広がっています。金利が上昇すれば、PER(株価収益率)の高いAI・半導体株には割高感が意識され、売られやすくなります。9月3日も、この金利先高観が、半導体・AI関連株の上値を抑えました。

テクニカル面でも、日経平均は75日移動平均線を大きく下回る水準にあります。これは、中期的な株価の勢いが下向きになっていることを示しており、戻りを試す場面では、戻り待ちの売りが出やすい地合いが続くとみられます。

● ここからの相場を、どう考えるか

9月2日の全面安から、9月3日は下げ渋りました。この2日間の値動きから、ここからの相場を考えるうえで大切なことを、3つお伝えします。

1つ目は、暴落の翌日に下げ止まった意味を、冷静に評価することです。9月2日のような全面安の後は、狼狽売りがさらなる売りを呼び、下落が続くこともあります。しかし9月3日は、小幅安にとどまり、TOPIXはむしろ反発しました。売られすぎた水準では買いが入るという、相場の底堅さは失われていません。ここで慌てて投げ売りをする局面ではない、ということです。

2つ目は、「買う理由のある銘柄」に注目することです。9月3日は、バークシャーの投資意欲という材料があった商社株、金利上昇が追い風となる銀行株が買われました。相場全体が不安定なときほど、明確な買い材料や、環境の追い風がある銘柄が選ばれます。自分の持ち株や、これから買おうとする銘柄に、今の環境で買われる理由があるかを、あらためて確認することが大切です。

3つ目は、金利と原油の動向から目を離さないことです。9月2日の全面安も、9月3日の上値の重さも、根っこにあるのは原油高と、それがもたらす金利の先高観です。この2つが落ち着かない限り、AI・半導体株には逆風が続きます。逆に、原油が落ち着き、金利先高観が和らげば、売られすぎた半導体株が反発する可能性もあります。当面は、この金利と原油の動きが、相場の最大の焦点です。

● 最後に

9月2日の全面安から一夜明けた9月3日は、111円安の小幅続落ながら、TOPIXが反発し、商社・銀行株が相場を下支えするなど、下げ止まりの兆しが見えました。暴落の後にパニックが続かなかったことは、相場の底堅さを示すものとして、前向きに受け止めてよいと考えています。

ただし、原油高と金利先高観という重しは、依然として残っています。9月18日には日銀の金融政策決定会合も控えており、金利を巡る警戒は続きます。相場が落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、楽観は禁物です。

こういう局面で大切なのは、目先の値動きに振り回されず、事実を冷静に見極めることです。全面安の翌日に下げ止まったという事実、商社・銀行という買う理由のある銘柄が選ばれたという事実。これらを踏まえれば、過度に悲観する必要はありません。一方で、金利と原油という重しが残っている以上、慎重さも忘れてはなりません。冷静さと慎重さの両方を持ちながら、業績の裏付けのある銘柄を軸に、9月相場に臨んでいきましょう。

西村 剛

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西村 剛

Yahoo!ファイナンス 株の達人・証券アナリスト兼ファンドマネジャー・AllAboutガイド。 現在、30名の一流システムトレーダーを育成する特別プログラム講師に従事 (過去にも120名以上が一流システムトレーダーとして成長した実績がある) システムトレードを、全くの初心者でも分かりやすく、やさしい言葉を使うことから、受講生の成長度の高さや信頼を多く集める、教え上手な専門家。