未来の株価が予想できる人は本当にいるの?

斉藤正章
語弊があるかもしれませんが、多くの人が勘違いしている代表的な例があります。いわゆる株のプロと呼ばれている人います。多くの人が勘違いしているのは、その株のプロと呼ばれている人は、「1年後の株の動き」が分かっていると思い込んでしまうことです。しかしながら、冷静に考えると預言者でもない限り、誰も未来のことは分からないのですよね。もし、分かっていたら、その株のプロと呼ばれる人たちは、皆さん儲かっているはずですから。つまり、誰も分からない未来を予想してルールを変更してしまうと、結果が完全に変わってしまうのですよね。
斉藤正章さん
ここでのポイントは、将来株価が「上がるか?下がるか?」の確率が、統計的に見て「高いか?低いか?」なのです。確率で考えると、結局プロと呼ばれる人たちも、勝ったり負けたりを繰り返しています。ただし、長期的に見ると、少しずつ儲かっていくのがプロの見解です。永続的に儲かるというのは、なかなか難しいですね。
森下千里
そうですね。私も実感します。難しいです。
斉藤正章
よって、プロと初心者の大きな違いは「根拠があって売買しているか」、それとも「適当に勘で売買しているか」のところです。プロだからといって、「上がるか」それとも「下がるか」が分かるわけではないのです。根拠があるか、ないかの違いなのです。
森下千里
しかし、プロの方は「下げ相場」のときの対処方法が違いますよね。仮に、自分が保持していて下がっているときは、恐怖感があります。その恐怖感から、自分でも思わぬ行動や、全く根拠のない行動にでてしまったりします。
斉藤正章
そうですよね。システムトレードでは、そのような場面も想定して検証結果を導き出します。いくらシステムトレードとは言っても感情に勝たなければならない部分はありますが、基本的には検証結果に従えば、耐えて根拠のある行動に出られるのです。

分かりやすい例で言うと、サブプライムショックが良いかもしれません。グラフを見てみると、2008年は下がっています。しかし、サブプライムショックの時期を見ると、それよりもはるかに大きなへこみ(運用資産の減少)があります。だが、システムトレードでは検証結果に、サブプライムショックが考慮されているので、もし将来同じことがあって落ち着いて売買を続ければ良いのです。既に、過去の事実として検証されているわけですから。
森下千里
なるほど。質問ですが、今回の検証では10銘柄していますが、10銘柄合計の検証結果が、このグラフということで良いのでしょうか?
斉藤正章
はい、その通りです。10銘柄で、この法則(売買ルール)通り売買すると、このような結果になったという意味です。
森下千里
ということは、10銘柄で検証した場合は、10銘柄を全て買わなければならないといことなのでしょうか?
斉藤正章
基本的には、そうですね。ただし、資金は無限にあるわけではないので、それは現実的ではないと思います。このような理由もあり、自己資金に合わせて検証する必要性が出てきます。そのとき、先ほど使用した「達人モード」が生きてきます。

達人モード」の「資金管理」機能を利用して、例えば資金が300万円と設定します。そして、その300万円を、毎回10銘柄に分散投資すると設定します。また、売買すべき銘柄が多数でた場合を考慮して、買い付けの優先順位を設定していきます。対象の銘柄が100銘柄など出てしまうこともありますからね。今回は、株価が低い順に買い付けるように設定しました。

他に、300万円持っている人が、毎回10銘柄で分散して、信用取引2倍で運用したらどうなるかということも検証しましょう。今回は、10銘柄ではなくて2銘柄で検証してみましょう。結果は、このようになりました。毎回2銘柄で分散するとこんな形のグラフになります。
森下千里
やや、上がったようですね。
斉藤正章
そうですね。これくらいですと、一気に利益を出すことは難しそうですね。
森下千里
おっしゃる通りですね。
斉藤正章
長い目で見ると、少しずつ利益が出ているかなと感じる程度でしょうか。
森下千里
そうですね。しかし、これですと300万でスタートして、600万を超えるということですよね。約2倍に資産が膨らんだことになりますね。
斉藤正章
ただし、これ単利ですので、複利にすると結果がもっと変わるかもしれませんね。
森下千里
確かに、そうですね。複利にした方が、利益が増加しそうですよね。
斉藤正章
元本を残したとき、利益が出た分を引き出した方が損は少ないです。その代わり、儲かるのも少ないです。複利にすれば、儲かるときはすぐ儲かります。その反面、へこみ方(運用資産の減少)も大きいです。波が激しいということですね。
森下千里
波が激しいですよね。最終的に、金額は一緒くらいかもしれませんね。先ほども700万円くらいでしたよね。
斉藤正章
この場合は、偶然近いのかもしれませんが、途中でへこみすぎたので取り戻すのに時間かかってしまいましたね。
森下千里
しかし、ここの上がっている部分を見ると、ずいぶん上がっていますよね。
斉藤正章
そうですね。ただし、その分へこんでもいますね。
森下千里
確かに、大きいへこみがありますね。
斉藤正章
今回に関しては、銘柄数が少ないので、売買回数が少ないということもあり、あまり利益がでていません。しかし、何千銘柄ある中で、300万円からスタートして20年間売買すると、複利だと数億円に増えることもあります。これまで、検証した結果を見てみましょう。
プロフィール
森下千里
森下千里もりした ちさと
1981年愛知県生まれ。
雑誌やバラエティー番組、舞台などひっぱりだこの人気タレント。
趣味はカレー作り、お菓子作り、ゴルフ、ゲーム、株!
昨年ファイナンシャルプランナー3級、マネーマネジメント1級取得。
現在カレー店『芸能人 カレー部』を各地で営業中!http://www.currybu.jp/
オフィシャルブログ:
http://ameblo.jp/morishitachisato/
斉藤正章
斉藤正章さいとう まさあき
1975年東京生まれ。
デザイン系専門学校を卒業後、システム開発会社に就職。プログラマー兼システムエンジニアとして8年間勤務。
2001年に元手30万円で株式投資を開始。当初は苦戦するも、2003年1月に独自のシステムを開発してから常勝トレーダーとなり、2006年に1億円を達成した後も安定した運用を続けている。勝率80%の逆張りシステムを中心に数種類のシステムを使い分ける。
著書に『株 勝率80%の逆張りシステムトレード術』『斉藤正章の株 両立80%の逆張りシステムトレード実践テクニック』(日本実業出版社)がある。
西村剛
西村剛にしむら つよし
財閥系運用会社にて、国内株式中小型株アナリスト兼ファンドマネジャーを経験。年間200社程度の経営者に取材を行う。
2005年フェアトレード株式会社代表取締役就任。
2009年「システムトレードの達人」を使って、株式戦略マル秘レポートを連載中。
著書に『実践 空売りトレード』(明日香出版社)がある。