売買ルールの検証結果が再現しない理由



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夢幻です。

前回は『システムの不可逆性』の存在を紹介しました。

これは、簡単に言えば、売買ルールを十分な回数行っても、検証結果通りの期待値が得られないこと、または誤差が発生することです。

システムの不可逆性について、実際にどんなものがあるかイメージをつかんで頂くために、お馴染みの事例を紹介していきます。

1つは、マーケットインパクトです。

これは、過去の売買ルールの結果をもとに全く同一の売買を行ったとしても、実際は存在しないはずの自分のポジションが入る事によって、価格のずれが生じることです。

例としては、その銘柄の流動性に対して、売買するポジション量が相対的に大きいときなどに起こります。

これは、流動性に対し、十分小さいポジション量に調整することで、その影響を小さくすることで対処するのが一般的です。

また、マーケットインパクトの例としては、同じルールをたくさんの人が用いた場合などにも起こります。

自分のポジション量が十分に小さくても、まったく同じ注文をたくさんの人が執行するとやはり同様のことが起こります。

このため、なるべく同じタイミングで売買しないような売買ルール作成を心掛ける必要があります。

2つ目は、スリッページです。

これはザラ場で成り行き注文や逆指値注文を行う時に発生する執行価格と約定価格の差です。

検証上は逆指値の執行価格で約定した事になっていますが、実際は執行価格に売買出来る板があるとは限りませんし、あったとしても発注量をこなすだけの板が無い場合があります。

その場合は必然的に不利な価格で約定することになります。
(買いの逆指値なら執行価格より上の価格での約定となり、その価格差がスリッページとなります。)

また、よくあるのがブレイクアウト系のルールで一定期間の高値更新による仕掛けです。

このような多くの人と狙いが被るルールを使うと同じタイミングで逆指値の仕掛けが走り、過度なスリッページが発生する場合があります。

スリッページもマーケットインパクトと似た性質があり、ポジション量を流動性に対し小さくとる、他のトレーダーと被りにくいルールにするなどが対策があります。

3つ目は資金管理の問題です。

よくあるのが、買いの逆張りルールでの資金量の問題です。

ちなみに、昔のとある検証ソフトでは、資金管理の問題はありませんでした。

なぜなら、資金管理の機能、つまり資金量を設定する項目自体がなかったからです(笑)

このため、設定したルールで買いの売買を繰り返すと、その結果はそのルールに合致する”すべての”売買を行う前提で算出されます。

しかし、実際に運用するとある事に気付きます。

それは買いの(平均損益の高い)売買は同じタイミングで纏めて出やすいという特徴があるからです。

これは暴落の時などに、多くの銘柄が一緒に下がり、同時に買いのシグナルが沢山出れば出るほど、その平均損益が高くなるような傾向があるからです。

※余談ですが、このような傾向があるため、買いのルールでは銘柄数によるフィルターが有効になります。

しかし、昔のルールには資金量という概念がなかったため、全部の結果をトレードしなければなりませんが、実際には途方もない資金が必要な場合も多々あります。

するとトレード出来ない分のトレードの利益は取れませんから、その分、合計利益が目減りして差異が生まれるというわけです。

現状のシステムトレード検証ソフトには、ほぼ資金管理機能がついていて自分の資金に合わせてトレードした場合の差も調べる事ができます。

以上、検証結果と実トレード結果に差異が発生する理由を挙げてみました。

これらは実運用している方であれば、大体一度は考えたことのある例ばかりでしょう。

次回では、解説の本題でシステムの不可逆性のメインともなるカーブフィッティングについて解説します。

お楽しみに!

P.S.復習として、12月15日発行分の”なぜ、検証結果どおりの平均損益が出ないのか?”
これは、次回のメルマガの理解を深めるために、重要な内容なので、再読しておいて頂ければと思います。
https://sys-tatsu.com/investmentnews/?post_type=blog&p=9940

 

 

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夢幻

平均年利100%以上を叩き出し、今なお資産を増加し続ける現役の専業システムトレーダー。 会社員時代は投資教育会社の統括マネージャーとして、成果を挙げた個人投資家やプロトレーダー、ファンドマネージャーなどに数多く会い、様々な実践トレードの手法を学ぶ。 斉藤正章氏や西村とも古くから交流があり、「システムトレードの達人」を開発当初から愛用している。 退職後は、当時の資金500万円のうち100万円を設備投資に使い、資金400万円で専業トレーダーに転身。 トレードの利益から生活費を捻出するため、当初は、資産がなかなか増えていかない状況が続くも、「システムトレードの達人」を使い独自の投資手法を構築することで、本格的にトレードを開始した2013年以降は年利回りが50%下回ることがないという安定した実績を残している。