自分のアタマで考える『プロスペクト理論』【夢幻】



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夢幻です。

突然ですが、「行動ファイナンス理論」というものを皆様はご存じでしょうか?

相場の世界では、人は時に合理的でない判断を下してしまう事が多々あり、そのような人間の心理的な性質を理論立て解き明かそうとするものです。

行動ファイナンス理論の中の一つで、相場の書籍等でも良く取り上げられるのが、『プロスペクト理論』です。

この理論について有名な問題があり、相場に向き不向きが判断出来るそうです。

問題を見たらご存じの方も居ると思いますが、一緒に考えてみてください。

どちらを選びますか??

問題1(もらう時)

A・・・確実に90万円もらえる
B・・・95%の確率で100万円をもらえるが、5%の確率で何ももらえない

問題2(はらう時)

A・・・90万円をはらう
B・・・95%の確率で100万円をはらうが、5%の確率で払わなくてもよい

もらう時はAの平均利益(期待値)が90万円に対し、Bの期待値は95万円で金銭的期待値ではBが有利です。

しかし、感情的にはBの場合、5%の確率で何ももらうことが出来ず感情的な落ち込みが激しいことが容易に想像できます。多くの人は心理的な痛みを避けてAを選ぶでしょう。

実際、「プロスペクト理論」では、もらう時は多くの人がAを選ぶそうです。

しかし、相場に参加する上ではBが向いているとされます。

相場では損益を重視することが求められるからです。

払う時はAの平均損失が90万円に対し、Bの平均損失は95万円で損失が少なく済むのはAです。

しかし、感情的にはBの場合、5%の確率で支払いが回避され、この時は天にも昇る嬉しい気持ちになることが容易に想像できます。多くの人は期待を込めてBを選ぶでしょう。

実際「プロスペクト理論」では、払う時は多くの人がBを選ぶそうです。

しかし、相場では参加する上では、平均損失が少なくて済むAが向いているとされます。

この問題はシステムトレードなど平均損失を綿密に計算してトレードされている方は割と平易な問題だったかと思います。

私もこの問題を見て、正解を導くことは容易でしたし、即座に問題の意図に気付く事が出来ました。

しかし、この問題を度々見かけるうちに、ある問題点に気付きました。

ちょっとその問題点を考えてみてください(問題点は2つあります)

お分かりになりましたか?(以下、問題点と答えです)

1つ目は、「このチャンスを選ぶ対象となる人の所持金がわからない事」です。

問1のもらう時のケースで、所持金が0円であり、もしお金に困っていたらどうでしょうか?

もしかしたら食べるものも無く空腹で相場どころじゃないかもしれません(笑)

しかし、Aで90万円を確実に得る事が出来れば多少の利回りがあれば、時間をかけて100万円にすることも可能です。

しかし、Bを選び、何ももらえなかった場合、どんなに運用力があっても資金が無ければずっと0円のままです

種の無いところに花は咲きません。

このような疑問を一度持ってしまうと、このプロスペクト理論の問題を見るたびに、
「いや所持金は!!」と突っ込みを入れたくなるのです。

ところが、ついにこの私のもどかしさを解消してくれる日が来ました(嬉)

同じ問題点に気付き、指摘している書籍を最近見つけたからです!!

それは高田智也さんの「プロ相場師の思考術」という本で2007年に出版された書籍です。
高田さんと言えば、2004年に初書籍を出し独自の相場哲学を持つことで当時、注目された相場師です。

しかも、高田さんはもう一つの問題点も指摘していました。

それが2つ目で、「選ぶチャンスが何回あるか」という点です。

例えば、10回、100回と選ぶことが出来るのであれば、平均損益を重視して選ぶし、1回限りであればまた違った選択になるだろう、という事です。

高田さんはこんな前提が不確定な状態で問いを出されても、相場の向き不向きがわかるわけが無いと思うと答えています。
よって、この問題はあまり相場の向き不向きに関係ないのではないかと回答しています。

ただ、様々な角度から問題の本質を見抜き、

「自分の頭でオリジナルな考え方ができるようになることが必要」

と説いています。

さて、皆様は「プロスペクト理論」とこの問題点についてどのような感想を持ったでしょうか?

是非ご自身の頭で柔軟に考え、もし投資家との話題で「プロスペクト理論」の話題が出たら、この問題点を相手にぶつけてみてください(笑)

では次回もお楽しみに!

 

ー夢幻

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夢幻

平均年利100%以上を叩き出し、今なお資産を増加し続ける現役の専業システムトレーダー。 会社員時代は投資教育会社の統括マネージャーとして、成果を挙げた個人投資家やプロトレーダー、ファンドマネージャーなどに数多く会い、様々な実践トレードの手法を学ぶ。 斉藤正章氏や西村とも古くから交流があり、「システムトレードの達人」を開発当初から愛用している。 退職後は、当時の資金500万円のうち100万円を設備投資に使い、資金400万円で専業トレーダーに転身。 トレードの利益から生活費を捻出するため、当初は、資産がなかなか増えていかない状況が続くも、「システムトレードの達人」を使い独自の投資手法を構築することで、本格的にトレードを開始した2013年以降は年利回りが50%下回ることがないという安定した実績を残している。