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夢幻です。
皆さんは売買ルールの検証におけるカーブフィッティングについて
正しく理解しているでしょうか?
カーブフィッティングとは、過剰最適化とも呼ばれ、過去検証において利益を最大化する最適解を探そうとするが故に、過去検証と実運用の成績に大きな誤差が生じる事です。
どんな売買ルールも過去検証から逆算されて作られているため、ある程度は最適化された結果であり少なからずカーブフィッティングは発生しています。
ですから、過去検証と実運用の間に多少の誤差は発生するものですが、
その誤差が少なければより信頼性の高い売買ルールと言えると思います。
したがって、優れた売買ルールというのは、パフォーマンスが良いだけでなく、この誤差が少ないというのも大切なポイントとなります。
しかし、この誤差というのは、売買ルールの検証結果だけでは見えてこないのが厄介な所です。
この誤差がひどいものになると、検証上では凄いプラスの損益を出している売買ルールがひどいマイナス続きという事も起こり得ます。
これは、悪しき最適化を行った結果でこれが俗にいう避けるべきカーブフィッティング、またはオーバーフィッティングと呼びます。
これは、間違ったパラメータ(トレード要素)の評価を繰り返し行う事でおきます。
上の画像を見てください。
大きな外側の楕円がパラメータ選定を行う前の仕掛けルールです。
これは、
・エントリー条件
・イグジット条件
・初期フィルター(株価や出来高の下限等の最低要件)
などの、仕掛けルールを構成する最低限の要件のみを定義したものです。
カーブフィッティングを避ける重要なポイントを一言で表すと
・売買ストラテジーにおけるすべての要素は仕掛け対象となるトレード母集合(白)
に対し、評価すること
で、統計的な観点から言えば、ごく自然な事です。
良くやりがちなのが、達人モードで選択されたトレード集合(内側のグレーの楕円)に対し、パラメータなどの評価をしてしまう事です。
例えば、優先順位として5日の乖離率(昇順)を設定したとしましょう。
この時、図の右側のグレーの領域が抽出されたトレード要素の集合であり、
どれも5日の乖離率が小さいトレード要素が選択される事になります。
そして、達人モードの設定で、資金量が小さい場合や銘柄の分散数が少ない場合は、トレード回数が少なくなり、白の楕円に対してグレーの楕円の面積が小さくなります。
この楕円の比率が大きいほど誤差が発生しやすい状況になります。
例えば、この仕掛けルールにおいてボラティリティでの評価をする事を考えます。
実際の検証の現場でどのような事が起こっているかというと、
・仕掛け対象となるトレード母集合
では、ボラティリティの高いトレード要素ほど平均損益が高い
という結果が得られたとします。
そして、これは(優先順位に設定した)5日乖離率が小さい銘柄についても
同様の傾向があると仮定しましょう。
しかしながら、グレーの
・達人モードで選択されたトレード対象(5日乖離率優先)
でボラティリティの評価検証を行った所、
ボラティリティの高い銘柄ほど平均損益が低く、ボラティリティの低い平均損益が高いという結果が出てしまう事があります。
これは達人モードで選択されたトレード対象が少ないが故に発生した誤差です。
つまり、たまたまそういう結果が出てしまったという事です。
当然ながら、この結果をみて多くのトレーダーが
ボラティリティの低いトレード対象を採用するでしょう。
こうして出来たルールを実運用すると、(実は平均損益が低い)ボラティリティの低い銘柄ばかり売買する事になり、期待通りの損益が出ないという現象が発生します。
過去検証で起きたきれいな右肩上がりのグラフが実運用になると急にグラフが傾いてくる原因の一つがこういったカラクリで起きます。
したがって、パラメータをきつくしてトレード要素を絞れば絞るほど、このような誤差が発生しやすくなり、度が過ぎると平均損益がマイナスになる場合も考えられます。
カーブフィッティングを避けるために、
・売買ルールにおけるすべての要素は仕掛け対象となるトレード母集団(白)
に対し、評価されているか
という事を意識してみてください。
では次回もお楽しみに!
ー夢幻
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夢幻
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