検証を繰り返して最適解を求める事がカーブフィッティングの原因となるカラクリ【夢幻】



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夢幻です。

前回はカーブフィッティング(過剰最適化)について、そのカラクリを説明しました。

その重要な判定ポイントは、

①.売買ルールにおけるすべての要素は仕掛け対象となるトレード母集合(白)
に対し、評価されているか

という事でした。

あなたがストラテジーを設計するとき、またはストラテジーを見直す、改善する時に
常にこのポイントを確認する事が大切です。

今回はカーブフィッティングを避けるもう一つの大きなポイントをお伝えします。

それは、

②.①のように、トレード母集合に対して評価出来ない項目については原則最適化しない

という事です。

例えば、マルチストラテジーの最適化です。

例えばシングルストラテジーが3つ(A、B、C)のマルチストラテジーを組むとしましょう。

ここで、優先順位を考慮してドローダウン(DD)なるべく小さいマルチストラテジーを採用したいとしましょう。

ストラテジーの優先順位は

A-B-C
A-C-B
B-A-C
B-C-A
C-A-B
C-B-A

の6通りあります。

一般的にはN個のストラテジーの優先順位を考慮したマルチストラテジーの数はNの順列となり、N!で計算できます。

この場合は6!=3×2×1=6ですね。

つまり、この6通りのマルチストラテジーの検証を行えばドローダウンの最も小さいストラテジーがどれかは分かります。

しかし、このマルチストラテジーを採用してはいけません。

何故ならこの”検証を繰り返して最適解を得る”というのはカーブフィッティングの可能性が非常に高いからです。

具体的どんな事が起こっているかというと、

A,B,Cのストラテジーのうち、DDの主原因となるストラテジーは優先順位が下位に来ます。
そのストラテジーがDDを起こすタイミングで残りのストラテジーのうち大きな利益を出すストラテジーが上位にきてそのDDを打ち消すマルチストラテジーが6つの順列のうち最もDDが小さいマルチストラテジーとなった可能性があります。

問題は、DDとそれを打ちけす利益の因果関係が評価出来ない事で、このマルチストラテジーの順列をしらみつぶしに繰り返す事で、たまたまそのようなDD打ち消しの起こったマルチストラテジーがピックアップされた可能性がある事です。

此処のストラテジーの性質を考慮してその因果関係が理解出来ているならば良いですが、往々にしてその立証は非常に難しいです。

分かりやすくいうと、”統計が利かない”という事になります。

したがって、私はカーブフィッティングを避ける為に

②.①のように、トレード母集合に対して評価出来ない項目については原則最適化しない

というルールを設けています。

これは、①と同様に私が重要視しているポイントです。

では、DDをなるべく小さいマルチストラテジーを採用するアイデアとしては、

A,B,CのストラテジーのDDの小さいストラテジーの優先順位を高くする

とシンプルにしてしまうのがベターです。

それでも、マルチストラテジーのDDが許容できない場合は、DDの主原因となっているストラテジーのポジションサイズ(仕掛け量)を小さくし調整します。

今回はDDに着目しましたが、

・平均損益率を最大化したい
・利回り(年利)を最大化したい
・最大損失を最小化したい

・・・etc

など、並び替えて検証をこなせば、良いマルチストラテジーの順列は1つみつかりますが、それは検証により、こじ付けの最適解が見つかり、運用後にその答えが覆される事が往々にありますので、くれぐれも注意してください。

では次回もお楽しみに!

 

ー夢幻

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夢幻

平均年利100%以上を叩き出し、今なお資産を増加し続ける現役の専業システムトレーダー。 会社員時代は投資教育会社の統括マネージャーとして、成果を挙げた個人投資家やプロトレーダー、ファンドマネージャーなどに数多く会い、様々な実践トレードの手法を学ぶ。 斉藤正章氏や西村とも古くから交流があり、「システムトレードの達人」を開発当初から愛用している。 退職後は、当時の資金500万円のうち100万円を設備投資に使い、資金400万円で専業トレーダーに転身。 トレードの利益から生活費を捻出するため、当初は、資産がなかなか増えていかない状況が続くも、「システムトレードの達人」を使い独自の投資手法を構築することで、本格的にトレードを開始した2013年以降は年利回りが50%下回ることがないという安定した実績を残している。