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夢幻です。
前々回までのメルマガで、投資家やトレーダーが節約思考に陥る思考のロジックを説明しました。
簡単にまとめると、
・投資家は投資資金そのものが稼ぐ戦力となるので、出資者(投資家自身)→運用者(投資資金)の一方的な資金の流れとなる
→投資資金を取り崩しにくい(証券口座からは基本出金しない)
→自分にお金が還元されることは、目標金額を達成するか、投資資金が十分になったときである
→しかし、目標を達成出来ても目標が引き上げられ、投資資金が十分になる事はない(投資家は死ぬまでお金を増やそうとする傾向がある)
・このため、投資家自身はお金が無く貧乏な状態となる。投資資金は増える半面、投資家自身は十分な豊かさを手に入れる事は難しく、過度な節約思考に陥ったり、お金を使う事にストレスを感じたりする
・多くの投資家は資産を使う事なく、そのの大半(8~9割)を残したまま死を迎える
この投資家特性、自分では自覚しづらい点も多いため、具体的で分かりやすい実例があった方が理解しやすいかなと思います。
そんな投資家を探していたところ、優待投資家の桐谷(広人)さんがピタリ当てはまりました。
桐谷さんのステータスを調べてみると
・年齢・・・73歳
・運用資産額・・・約4億円
・保有銘柄・・・約1000銘柄で優待株と高配当株を中心に保有
・仕事・・・投資家、優待投資での講演活動やインタビューなど
・趣味、世暇の過ごし方・・・優待を使うために奔走
とこんな感じになっています。
驚いたのが、その年齢と資産額です。
男性の寿命は現在約81.5歳ですから、逆算すると、平均的な残りの人生は10年もないことになります。
この間に4億円を使い切るのは、かなり難しいでしょう。
元本を使い切るのは生活が不安だとして、少しづつ使う事を考えてみましょう。
以前、解説したFIREの4%ルールを用いれば、インデックスの利回りにより年間1600万円を使っていっても資産はほぼ減る事なく維持出来ます。(30年後に資産が残っている確率は約96%あり、平均値では資産は増える)
年1600万あれば自分で選んで、自由にやりたい事が出来そうですが、自由な時間は優待を活用するために奔走している状況です。
そして、優待を使って食事をするときは、極力現金は使わずに、優待の範囲できっちり食べるそうです。
その理由は「少額でもお金を使いたくないから」だそう。
このコメントからも、お金を使う事へストレスを感じている事が伺えます。
数年前、桐谷さんがマンションを買う事を検討しており、その行方をTV番組に出演していた時、企画としてやっていましたが、結局購入を見送ってしまいました。
私はここでマンションを買ったら、桐谷さんの人生は違った方向に大きく動くのではないかと期待して番組を見ていたのですが、結局決断出来ず購入には至りませんでした。
理由としては、コロナで講演の仕事がキャンセルになり収入が無くなったのと、コロナショックで株価が下がり、資産が一時的に目減りしてしまったからだそう。
今、振り返るとコロナショックが無くとも、これだけの節約思考の状態でマンションの数千万円の買い物をするのはかなり難しいのではないかと思います。
何故なら桐谷さんの財布は長年の節約思考で固く閉ざされたままとなっているからです。
さて、そんな桐谷さんですが、何故今の優待投資中心のスタイルになったかというと、2008年リーマンショックでの失敗が投資のやり方を見直して今のスタイルになったそう。
当初は値動き主体のいわゆるキャピタルゲインを狙った取引で、信用取引も使っていたそうですが、リーマンショックで大きく損失を出したことで、信用取引を辞め、株価の乱高下によるストレスもあり、そこで目を付けたのが優待投資などのインカムゲインを狙った投資だったようです。
優待株は優待目当てで買う投資家の下支えなどもあり、株価が下がりにくい事から長期保有しやすく、それから株価を見るストレスも減り投資は上手く行くようになったそう。
また、優待を使う事を楽しみに投資を続けると株価の上下しても優待はちゃんと貰えるので、それほど株価の上下は気にならなくなったとの事です。
このあたりは、自分の性格と投資のスタイルなどを見なおして、投資の成果が出ているのは素晴らしいですね。
そして、優待銘柄の目ぼしいものはすべて買ってしまったので、今は高配当株を増やしていっており、優待+配当で年利4%以上を目安に株を購入しているそうです。
見方を変えれば、資産を取り崩さなくとも、優待+配当で大体年間1000万円~1500万円分ぐらいは自分に還元されるので、それほど贅沢しなければ十分満足する生活はおくれているというのが現状かなと思います。
優待株は優待品を提供する企業側にも株主が顧客となる等のメリットがあり、配当よりも現物で商品が貰える分、高還元になりやすいです。
しかし、優待を使うために時間と労力というコストが掛かる事や、”優待を使わなければならない”という点で、人生の選択肢がせばまるのは大きなデメリットと言えます。
桐谷さんほどの富裕層ならば、特性として”お金で時間を買う”という事が挙げられますが、”優待品に時間を奪われる”事になっては真逆になってしまいますね。
ここを上手くやりくりしないと、投資自体は上手く行ったが、優待を使う事に自分の人生を費やしておわるようにも思えます。
その優待投資をネタに講演やインタビューなどの仕事をしている為、優待投資を辞めるのも難しそう・・・という事で、4億円を使い切るというのは非常に難しそうですね。
このあたりで、何か妙手を繰り出さないと、桐谷さんの人生は詰んでしまうのではないでしょうか・・・汗
桐谷さんは自転車で移動している為、肉体は健康で心肺機能は40歳台だそうで、あと20~30年近く寿命は残されているかもしれません。
その間、4億円全部とは言わずとも、もう少し豪快にお金を使って贅沢する姿を見てみたい、それも面白いと思いますが、どうでしょうか?
今後の桐谷さんがどんな投資人生を送るのか、4億円の資産の行方が最終的にどうなるのか、目が離せません。
では次回もお楽しみに!
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