ハイボラティリティ戦略の終焉【夢幻】



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夢幻です。

前回、システムトレードにおける仕手株への仕掛けの難しさについて、解説しました。

基本的に、仕手株の存在は過去相場においても存在していたためその動きは折り込み済みであり、さほど気にする必要はないというのが私の考えです。

その上で、その存在が心理的に仕掛けを難しくしているのであれば、リスク量(ポジション量)を十分に少なくすることがセオリーです。

今回は、この一般論が通用しない、この考えでは少しまずいケースについてお話します。

それは、”株式市場の制度変更を仕手筋が意図して利用したケース”です。

株式市場の制度変更とは例えば、2022年の市場構造の見直しがそれにあたります。

この際は、東証1部、2部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード・グロース)という区分を再編し、

プライム市場、スタンダード市場、グロース市場

の3区分に変更になりました。

しかしながら、東証1部→プライム市場、マザーズ+JASDAQグロース→グロース市場、スタンダード市場→その他(東証1部の一部、東証2部、JASDAQスタンダード)

といった感じで、実質的な変化は少なく、この制度変更を積極的に利用するような動きはなかったように感じます。

少しまずいと感じるのは、値幅制限の拡大要件の見直しの制度変更です。

これは、2020年6月に発表され、2020年8月からルール変更が行われており、端的に説明すると

・2020年8月までの値幅制限の拡大の運用

ザラ場に寄らず、ストップ高(安)が3日続いた場合
→ストップ高が続いた場合は値幅上限を2倍に拡大する
→ストップ安が続いた場合は値幅下限を2倍に拡大する

・2020年8月以降の見直し後の値幅制限の拡大の運用

ザラ場に寄らず、ストップ高(安)が2日続いた場合
→ストップ高が続いた場合は値幅上限を4倍に拡大する
→ストップ安が続いた場合は値幅下限を4倍に拡大する

と、連続ストップの日数が3日→2日と1日減ったばかりでなく、拡大される値幅も2倍→4倍になるというなかなかインパクトの大きい見直しでした。

これにより、2021年は連続ストップ高からこの値幅上限4倍となる銘柄が増え、数日間で2倍以上となる銘柄も散見されました。

この件については、過去のメルマガでも一度取り上げたことがあったかと思います。

その動きは2021年の年末ごろにはブームも去った感じで、その後目立った動きはない感じでしたが、この所は連続ストップ安から値幅下限4倍となる銘柄も増えてきた感じです。

4月後半には、

4/25・・・7692、アースインフィニティ(値幅下限4倍で終値959円→翌日下限359円)
4/28・・・9348、ispace(値幅下限4倍で終値1190円→翌日下限1円)
4/28・・・4891、ティムス(値幅下限4倍で終値314円→翌日下限1円)

と同時に3銘柄がこの下限の拡大適用となりました。

これらが、仕手筋によるものなのかは断定は出来ませんが、一部見られるのは拡大適用となるストップ安の1日目、2日目に大量の成り行き売りが出ていることです。

この拡大が適用となると、下限幅が一気に拡大となり、信用組は追証などのリスクを回避せざるを得ない状況となりますから、これを利用した仕掛けも考えられなくはないと思います。

この動きは、2022年に話題になったダブルスコープでもありました。

この制度変更により、上に挙げられるような、小型株かつ比較的ボラティリティの高い銘柄は大きな損失を被る機会が増えてきたように感じます。

このようなボラティリティの高い銘柄は大きな利益を挙げる事も多いですが、大きな損失となるケースもあり、その回数は利益に比べれば少なかったためバランスが取れていましたが、この制度変更により、バランスが崩れてきてしまったかもしれません。

特に、制度変更を積極的に利用するような仕手筋が現れると、過去相場の検証結果が通用しなくなる可能性は非常に高いのではないかと思います。

次回はその対策について、少し考えてみたいと思います。

では次回もお楽しみに!

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夢幻

平均年利100%以上を叩き出し、今なお資産を増加し続ける現役の専業システムトレーダー。 会社員時代は投資教育会社の統括マネージャーとして、成果を挙げた個人投資家やプロトレーダー、ファンドマネージャーなどに数多く会い、様々な実践トレードの手法を学ぶ。 斉藤正章氏や西村とも古くから交流があり、「システムトレードの達人」を開発当初から愛用している。 退職後は、当時の資金500万円のうち100万円を設備投資に使い、資金400万円で専業トレーダーに転身。 トレードの利益から生活費を捻出するため、当初は、資産がなかなか増えていかない状況が続くも、「システムトレードの達人」を使い独自の投資手法を構築することで、本格的にトレードを開始した2013年以降は年利回りが50%下回ることがないという安定した実績を残している。