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夢幻です。
今週、度々ニュースとなった、オーシャンゲート社の潜水艇『タイタン』遭難事故
タイタンという潜水艇に乗って、海底およそ3650メートルに沈んでいるタイタニックを見学するという一人3500万円の豪華ツアーです。
タイタンが、18日日曜に通信が途絶え、消息を絶ってから、各国協力のもと懸命な捜索が行われていました。
というのも、非常用の酸素は96時間(4日)とタイムリミットがあり、それまでに発見出来るか、潜水艇を引き上げて乗員を無事救出出来る事を世界中が見守っていました。
捜索もタイムリミットを迎えた22日の夕刻から、23日の朝にかけて事態は一変します。
残念ながら、潜水艇はその姿を発見される事もなく、水圧により既に破壊されており、残骸のみが発見され、乗員5名は生存の可能性は絶望となり、最悪の結果となりました。
このニュースを深堀りしていくと、潜水艇の安全性にそもそも問題があった事が報じられます。
もともと潜水艇を運用するオーシャンゲートの責任者が、潜水艇「タイタン」の品質管理や安全上の懸念点を指摘した事があったそうなのですが、この指摘は経営陣に受け入れられず、結局、責任者は同社を解雇されているという事実が発覚しました。
その他にも、これだけの深海を潜る潜水艦なのに、操縦がゲーム機のコントローラーで行う点、中にはボタンが一つだけ、あとは、通信用のモニタが数台と簡易な照明のみと、深海を潜るにはずいぶん簡素な作りである事、素人が見ても不可解な点が見受けられます。
日本の有人潜水調査船「しんかい6500」と比べると、そのあまりのスペックの違いにびっくりします。
この点、調べてみると、今回の搭乗員でもあり、オーシャンゲート社のCEOでこのタイタンを所有しているストックトン・ラッシュ氏(上の掲載画像)の思想が深く関係していそうです。
(画像はBBC News Japanのyoutube動画「潜水艇は「ジョイスティック」で操縦 行方不明前にBBCが内部を撮影」より引用)
というのも、ラッシュ氏は、
私は革新者として名を残したい『我々の記憶に残るのは、規則(ルール)を守った者では無く、破ったものである』というマッカーサーの言葉を参考にしていると語っています。
そのために
「ルールを守るのではなく、ルールを破る」
として、この潜水艇を作るために常識外れの論理と技術を用いて開発したようです。
例えば、筐体に向いていないとされるカーボンファイバーを用いて開発されています。
今回の事故が起きるまでは、
「自分が破るルールを選択すること、それが他の人や社会に価値をもたらすルールであり、それが私にとってまさにイノベーション」だと語っていました。
こういった背景から、作られた潜水艇タイタンは専門機関の認証試験を受けてはいなかったとの事。
もちろん、ルールを破る事が時として新しい発見や注目される機会を生み出すかもしれませんが、サイエンスやエンジニアリングの世界でこの思想が取り入れられ、安全性が犠牲になったというのであれば、このルール破りが招いた悲劇と言えるかもしれません。
そういった意味では、マッカーサーの言葉は、こういった基準を守らないのではなく、常識を疑う、抗う、セオリーを破るといったような別の意味だったのではないかと思います。
システムトレードでも、ルールを破る事が致命的な損失や機会損失に繋がる事がありますので、同じように気を付けたいところです。
過去を知るための検証であって、その結果のルールに破っても上手くいかないですよね。
そういった意味でも、何故そのルールがあるのかを正しく理解する事も大切といえます。
なお、タイタニック号が沈んだ際は、その悲劇が繰り返されぬよう、IMOという国際海事機関が作られました。
また、SOLAS条約が制定され、船舶には、全員が乗船できるだけの救命艇を備える事が義務化されたり、モールス無線電信の設置や通信士の乗船が義務付けられています。
乗員5名の冥福を祈るとともに、この機会に今回のような悲劇が繰り返されぬよう、新たなルールを制定して、事故が繰り返されぬ事を祈ります。
では次回もお楽しみに!
ー夢幻
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夢幻
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