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From:田村祐一
最近システムトレードの売買ルール作りにおいて、
ある点について深く考えていることがあります。
長年、疑問というか、結論が出なかったのですが、
ようやく自分の中で一区切りつきました。
その長年考えていたこととは、
【バックテスト期間の設定】です。
バックテスト期間というと売買ルールの根幹をなす
非常に重要なものです。
全上場銘柄の株価データを使って売買ルールを作成するので、
システムトレードでは肝となるものです。
一般的には、このバックテスト期間は、
長ければ長いほど良いと言われていますが、
長年私の中では疑問がわいていました。
「本当に長ければ長い方が良いの?」と。
検証ソフト「システムトレードの達人」では、
株価データは1990年から現在まで収録されていますが、
バックテスト期間は「2000年~現在」まで作成することが一般的なようです。
一般的と言う表現は、システムトレード関連の書籍や、
サイト等でみるバックテスト期間です。
私自身も長年このバックテスト期間で売買ルールを作ってきましたが、
ここ数年は、この考え方に疑問というか不信が出てきました。
株式市場における傾向が2010年以前と2010年以降では、
大きく異なっているからです。
2010年前後で傾向が大きく変わった要因としては、
ネット証券の台頭が始まり、
証券取引手数料が激安になったことが原因です。
ネット証券の台頭以前は、対面営業の証券会社に電話を入れ、
高い手数料を払って株の取り引きをしなければいけませんでした。
高い手数料をペイするには、
デイトレード等の短期トレードでは難しく、
基本的にはスイングトレード中心でした。
しかし、ネット証券が台頭し、個人投資家も
デイトレ等の短期トレードを行えるようになり、
株式市場の傾向に変化が発生しています。
厳密に言うと2013年以後かなーと個人的には思っていますが、
ざっくりと2010年以前と以後では傾向が大きく異なります。
傾向が異なることの何が問題かというと、
2010年以前のデータを入れて作成した売買ルールと
入れずに作成した売買ルールでは、
有効となるテクニカル指標に大きな違いが出るからです。
もっと具体的に言うと、2010年以前のデータを使うと、
直近10年の成績が良くない売買ルールが出来上がりやすいです。
2010年以前はそもそも短期トレードを行うトレーダーが皆無だったので、
逆張り戦略や押し目買い戦略、デイトレ戦略の成績が極端に良いです。
そのため、売買ルールを作成する際に、2010年以前のデータを使うと、
2010年以前の成績を伸ばすようなテクニカル指標が採用されがちで、
直近の成績があまり良くないものになってしまうリスクが高いです。
現在は、個人投資家をはじめとして短期トレードが主流になっており、
バックテストする場合にも、なるべく2010年以後でしたほうが良いとここ数年感じていました。
そのため、2010年以前のデータを入れて作成したルールと、
入れずに作成したルールで、数年間成績の分析を行ってきて、
ようやく自分の中で結論が出ました。
あくまでも個人的な結論ではありますが、
バックテスト期間は基本的に2010年以後で行ったほうが良いです。
暴落に特化した逆張り戦略等の一部戦略を除いて、
基本的には2010年以後で行う方針に決めました。
数年間成績の差異をとってきて、
ようやく自分の中でもやもやがすっきりして晴れやかな気持ちです。
田村祐一
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