GPUからストレージへ~AI相場「第2波」の主役、キオクシアの衝撃



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こんにちは、夢幻です。

前回はAIの指数関数的な進化スピードについて触れました。

今回は、その“進化を支える裏方”にスポットを当てます。

AI相場といえば、まず思い浮かぶのはNVIDIA。

GPUを武器に世界一の時価総額を手にした企業です。

ただ、ここにきて新たな主役が台頭してきました。
それがキオクシアホールディングス(285A)です。

1. 時価総額2兆円企業がストップ高

10月2日、キオクシアHDの株価はストップ高の5,410円を記録。
翌3日も一時ストップ高に迫る勢いを見せ、
わずか2営業日で 株価+31.3%、時価総額は約8,000億円増加しました。

中小グロース株ならともかく、
時価総額2兆円超の大企業が短期間でこれほど上昇するのは異例です。

背景には、AI関連としての位置づけが急速に高まったことがあります。

「AI=GPU(NVIDIA)」という図式が定着していましたが、

ここへきて“記憶”を担うストレージ企業が、
相場の主役に浮上し始めているようです。

2. 「NVIDIAの要望で100倍速SSD」

株価急騰の直接的なきっかけとなったのは、
10月2日に報じられた 「NVIDIAと協力して新型SSDを開発」 というニュースです(フィスコ)。

内容を整理すると

2027年をめどに、データ読み出し速度を従来比100倍に高めたSSDを製品化。

生成AIの演算を担うサーバー向けに、米エヌビディア(NVIDIA)と協力して開発。

GPUのメモリー容量拡張に使うHBM(高帯域メモリ)の一部置き換えを狙う。

「エヌビディアの要望に沿う形で開発を進める」と発表。

つまり、NVIDIAのパートナー企業としての位置づけが明確化された形です。

この一報が、投資家のマインドを一気に変えました。

何故なら、AIがグローバルな競争である以上、日本国内だけで事業を完結させる企業に大きな覇権はありません。

キオクシアがNVIDIAと組んだように、巨大な海外企業(NVIDIA, OpenAI, Googleなど)と技術的な連携や資本的な提携を深く結んでいることが重要だからです。

3. 「計算の時代」から「記憶の時代」へ

AIの成長段階を振り返ると、
これまで主役は演算を担うGPUでした。

しかし、ChatGPTをはじめとする生成AIの普及で、
膨大なデータをどこに、どの速さで記憶・呼び出すかが
新たなボトルネックとなっています。

AIサーバーは1秒あたり数兆回の演算を行いますが、
演算速度を高めても「データの出し入れ」が遅ければ処理が止まる。
そのボトルネックを解消するのが、
高速SSD、つまりストレージ技術の革新なのです。

GPUが“脳”なら、SSDは“記憶”そのもの。
AIが知能を発揮するための「記憶領域の拡張」が、
次の時代の成長エンジンとなりつつあります。

4. AI相場の第2波、始動

今回のキオクシアの動きは、
AI関連銘柄のテーマが「GPU」から「ストレージ」へと
移りゆく可能性を示した象徴的な出来事といえるでしょう。

同社はもともと東芝の半導体部門で2018年に東芝の経営再建の為に分離・売却され独立した企業です。
その後、半導体市況の好転を追い風に2024年に東証プライムへの上場を果たしました。

NAND型フラッシュメモリーで世界2位のシェアを誇り、
米ウエスタン・デジタルのスピンオフ企業サンディスクとの共同生産体制を築いています。

キオクシアと米ウエスタン・デジタルの協業・合併も度々協議されている事も一つの材料です。

スマートフォン市場の伸びが一服する中、
AIデータセンター向けSSDの需要は急拡大。

米国では関連銘柄のサンディスク(SNDK)も最高値を更新しており、
海外マネーもこの分野に流入しつつあります。

AIブームの第1幕は「演算能力の競争」でした。
そしていま、第2幕のテーマは「記憶の拡張」。

GPUからストレージへ、AI時代の覇権構造は、静かにシフトを始めています。

では次回もお楽しみに!

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夢幻

平均年利100%以上を叩き出し、今なお資産を増加し続ける現役の専業システムトレーダー。 会社員時代は投資教育会社の統括マネージャーとして、成果を挙げた個人投資家やプロトレーダー、ファンドマネージャーなどに数多く会い、様々な実践トレードの手法を学ぶ。 斉藤正章氏や西村とも古くから交流があり、「システムトレードの達人」を開発当初から愛用している。 退職後は、当時の資金500万円のうち100万円を設備投資に使い、資金400万円で専業トレーダーに転身。 トレードの利益から生活費を捻出するため、当初は、資産がなかなか増えていかない状況が続くも、「システムトレードの達人」を使い独自の投資手法を構築することで、本格的にトレードを開始した2013年以降は年利回りが50%下回ることがないという安定した実績を残している。