AI相場を支配しても、トレーダーの“恐怖と欲望”は不変である



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こんにちは、夢幻です。

前回は、AIブームの熱狂の中で上場し、
わずか11か月で上場廃止となった「オルツ」の事例を取り上げました。

AIという“夢のキーワード”が、どのように投資家心理を狂わせ、
実態のない成長ストーリーを作り上げたか、その実態をご覧いただきました。

AIは、企業の評価構造を変え、詐欺の手口を高度化させるだけでなく、市場における「勝敗を決するルール」そのものを根本から変えつつあります。

そこで今回は、これまでの2回で見えてきた「AIの裏と表」を踏まえ、
【AIによる虚構の崩壊】から、【AIが支配するリアルな相場】の時代へ。

AI時代における「ロジックの更新」と「不変の人間心理」の共存について深掘りします。

1. 【ロジックの「攻め」】AI主導で変わる市場のリズムとトレーダーの「更新力」

AIが相場の流動性、反応速度、ボラティリティを変えていく中で、
固定ロジックに依存する危うさが顕在化しています。

(1)市場の“リズム”が超短期・反射型へ変化

場中の開示やニュースなどでの値動きをしばしば観察していると、「急に逆方向へ振れる」「好材料が即売りに転じる」といった、“巡行しない相場”を演じることが増えているように感じます。

これは私の肌感覚だけではないかと調べたところ、どうやらAIによるアルゴリズム取引が市場のリズムそのものを変えていることがわかってきました。

AIはニュースやSNSの文章、板の厚み、約定速度などをミリ秒単位で解析し、
「他のAIがどう動くか」を予測して瞬時に売買します。

つまり、いま相場で起きていることは、AIとAIの“読み合い”なのです。

こうしたAI主導の相場では、ボラティリティの性質も変わっています。

以前のように「材料→上昇→数日維持」ではなく、材料→急騰/急落→数分で収束という「超収束型」へ。

AIの自動反転機能(リスク回避アルゴリズム)が人間の判断よりも早く利益確定・ドテンを行うため、相場は常に短命で、予測不能な反射現象になります。

(2)ロジックの定期的な「再検証」が最強の防御線

AIはもはや単なる分析ツールではなく、“主要な参加者”になっています。

ニュース解析AI、ディープラーニングによる板読みAI、さらにはAIがAIを監視する“自己相関トレード”が市場を支配しつつあります。

前者はニュースや板情報をいった要素をAIが分析するのに対して、後者はAIが他のトレードAIを分析・パターンやアルゴリズムを予測・学習して、トレードします。

例えば、ライバル社のAIが「特定のテクニカル指標が動いた後、必ず10ミリ秒後に大量の買い注文を出す」という“クセ”を持っているとします。

自己相関トレードを行うAIは、このクセを学習し、ライバルAIが動き出す9ミリ秒前に先回りして売買を仕掛けます。

この変化は、AIと正面からスピード競争をするのではなく、AIが絶対に持ち得ない「人間の立ち位置」、すなわちトレーダー自身の「更新力」を定めることが求められているのです。

過去に機能したロジックでも、その背景にある市場構造(流動性、時間分布、参加者の心理)が変われば、ロジックの賞味期限は短くなっていきます。

だからこそ、「AIが変化している」ことを前提に、ロジックを定期的に「再検証」し、
「更新」し続ける習慣が、システムトレーダーにとって最強の防御線になります。

2. 【心理の「守り」】AIが市場を変えても、人間の“恐怖と欲望”は不変である

しかし、ロジックの更新だけでは、AI相場を乗り切れません。
もう一つの視点、それは不変の人間心理という「守り」です。

AIのトレード判断は確かに高速で、冷徹ですが、そのアルゴリズムを設計し、運用しているのは人間です。

そして人間は、いかにAIを介しても「恐怖」と「欲望」から逃れられません。

暴落時、AIはリスクモデルに基づいてポジションを縮小しますが、そのモデルの前提となるデータは、“人間の恐怖による売り行動”です。つまり、

AIは人間の“恐怖の影”を追っていると言い換えられます。

リーマン・ショック、コロナショック、そしてAIバブルの崩壊局面。

どの時代にも共通するのは、「合理性よりも生存本能(恐怖・欲望)が勝つ瞬間」があるということです。

AIが市場をいくら変えても、その“原動力”は人間の感情に根差しています。

3. ロジックは壊れる、人間の欲は壊れない

どんなロジックも、永遠には通用しません。
しかし、「上がるときに買い、下がるときに怖くなる」この人間の基本的な構造は、100年経っても変わらないでしょう。

AIが市場を支配しても、そこに人間の“欲”が混じる限り、不合理な価格形成は繰り返されるのです。

むしろAIは、その「人間の欲望パターン」をデータ化することで、短期的には市場のボラティリティを増幅させています。

ロジックを更新し続け、不変の人間心理を見抜くこと。
これが、AI時代を勝ち抜くトレーダーの新たな指針となります。

では次回もお楽しみに!

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夢幻

平均年利100%以上を叩き出し、今なお資産を増加し続ける現役の専業システムトレーダー。 会社員時代は投資教育会社の統括マネージャーとして、成果を挙げた個人投資家やプロトレーダー、ファンドマネージャーなどに数多く会い、様々な実践トレードの手法を学ぶ。 斉藤正章氏や西村とも古くから交流があり、「システムトレードの達人」を開発当初から愛用している。 退職後は、当時の資金500万円のうち100万円を設備投資に使い、資金400万円で専業トレーダーに転身。 トレードの利益から生活費を捻出するため、当初は、資産がなかなか増えていかない状況が続くも、「システムトレードの達人」を使い独自の投資手法を構築することで、本格的にトレードを開始した2013年以降は年利回りが50%下回ることがないという安定した実績を残している。