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From;西村剛
先日、この記事をお届けしたところ、このようなご質問をいただきました。
「自分の考えた売買ルールのアイデアが、正しいか?それとも正しくないのか?その見極めはどのようにすれば良いのでしょうか?」
先日の記事では、4000回という数字や「3つのプロセス」という話の印象が強く残ったかもしれないので、なかなかここは上手く伝わらなかったのかもしれませんね。実は、このご質問の回答は、先日の記事の中にありました。でも、分かりにくかったので、今度は、その部分に焦点を当ててお話ししましょう。
正しいアイデアか見極める方法
まず答えから言いましょう。答えは、、、
「1銘柄で検証し、アイデアが正しいか?それとも正しくないか?見極める」
ということです。
その1銘柄は、TOPIXでも良いですし、日経平均株価でも良いです。このような株価指数で検証します。もしくは、各市場を代表するような、例えばトヨタ自動車やミクシィのようなものでも良いでしょう。
売買ルールを作成する際、アイデアが生まれたら、まずこのような1銘柄で検証します。そして、この検証結果が良かったら、銘柄を拡大して全市場などを対象に検証します。私も数々の検証をこれまでしていますが、良いアイデアのほとんどは、先ほどのような1銘柄で検証した結果が、銘柄を拡大した場合もそのままつながります。
その売買ルール、トレード対象を変えても有効?
また、これは少々イメージしにくいかもしれませんが、1銘柄で有効なアイデアがトレード対象を変えても有効であれば、カーブフィッティングしにくいアイデアだとも言えるでしょう。カーブフィッティング…日本語で過剰最適化と言われるものですが、これはトレード対象の部分でも起きます。
仮に、1銘柄でしか通用しなかった場合、それはその1銘柄という条件でしか有効ではない売買ルールです。反対に、トレード対象を拡大したり、対象の市場を変えても有効である場合は、それはあらゆるパターンとは言いすぎですが、少なくとも複数のパターンで有効な売買ルールと言えるでしょう。つまり、それだけカーブフィッティングのリスクが小さいということです。
標準モードで根本的な強さを…
ちなみに、一つ重要なことを言い忘れてしまいましたが、検証ソフト「システムトレードの達人」を使う場合は、このような検証をするときは「標準モード」を使用しましょう。このモードは、私も斉藤正章さんも、「売買ルールの根本的な強さを見る」ことに使用しています。余計な条件が入らないので、純粋に、そのアイデアが正しいか?それとも正しくないか?を判断するのに使用しています。
ですので、もし、あなたがアイデアを判断したいときは、標準モードを使って、1銘柄で検証して、その有効性を確認すると良いでしょう。そして、それで有効だとわかれば、トレード対象を拡大し、検証を進めるのが良いでしょう。
これが、ご質問の答えです。でも実は、ここからの話が重要です・・・
これは単なる時間のムダ
なぜ、このような方法をとるか?この部分を抑えておかないと、先日の記事にあった「3つのプロセス」の起点である「プロセス.1:正しい見方(考え方)」が分かりません。そして、この部分がずれてしまうと、3つ目のプロセスの「結果」がおかしくなってしまいます。そうならないためにも、しっかりと、この方法を使う理由を抑えておきましょう。
やはり、時間は有効活用しないといけません。先日の記事で、トップ1%に入るシステムトレーダーは、一つの売買ルールを作成するに4000回の検証をするとお伝えしましたが、ムダに4000回してはいけません。それでは、時間の資源をムダにすることになりますし、何よりもあなたの体力や精神力をムダに奪うことになります。
また、この4000回は、たった1回の成功を探すために3999回は、上手く行かない検証をします。でも、この3999回が、正しいアイデアを使った検証でなければ、たった1回の成功にたどり着くこともできません。その回数は、ムダに5000回、6000回、7000回…とドンドン増えていくだけでしょう。そうなってしまったら、はっきり言って単なる時間のムダです。
ムダを回避する方法が…
では、その時間のムダを回避するには、どうすれば良いか?それが…「スモールスタート」です。この方法をもう一度思い返してください。いかがですか?1銘柄で検証して、アイデアが正しいか?それとも正しくないか?を判断していますよね。そして、そのアイデアが正しければ、トレード対象を拡大するという流れですよね。
そうですね、日々熱心に勉強しているあなたであれば、お気づきでしょう。これまで何度か、このスモールスタートの話をしてきましたが、まさにこれもスモールスタートなのです。1銘柄の検証は、パソコンの性能にもよりますが、明らかにトレード対象を拡大したときよりも、早く終わります。ですので、何度失敗しても、何十時間という浪費をすることはありません。仮に何十時間費やしても、それだけアイデアを検証できるでしょうから、それはそれで良いと思います。
反対に、考えたアイデアを毎回、トレード対象を拡大したり、他の条件をある程度揃えたりしていたらどうでしょうか。これは明らかに1銘柄で検証したときよりも検証時間が長くなります。だから、気がつけば何十時間ということは十分に考えられるでしょう。
スモールスタートが有効な理由
このように見ればお分かりのように、小さく始めれば、それだけ次に取り掛かりやすいので、時間が有効活用できます。また、大きな失敗をしたものを修正するのは大きな労力が掛かりますが、小さな失敗であれば、修正するのに時間が掛かりません。
いつも料理で例えますが、仮に傷んだ食材があった場合、調理をしたあとに味を修正しようとしても、これを変えるのは大変でしょう。しかし、できるだけ早い段階…食材を選ぶ段階や、食材を切った段階など、早い段階で分かれば、修正はしやすいでしょう。
このように、小さく始めたほうが、軌道修正しやすいので、結果的にそれが時間の有効活用につながり、良い結果を生むことにつながるのです。
スモールスタートは結果的に効率を生む
しかしながら、案外このような方法をとるシステムトレーダーは少ないものです。いきなり大掛かりな検証から始めてしまい、様々テクニックを駆使し、どうにか結果を変えようとします。でも、食材が傷んだり腐ったりしていれば、完成した料理の味付けを変えるのが難しいように、どんなテクニックを駆使しても、結果が変化するのは難しいでしょう。
反対に、小さくスタートすれば、修正はしやすく、しかも小さな軌道修正で済むのでラクです。そして、ムダな検証も最小限に抑えられるので、結果的に効率的に良い売買ルールを作成できるでしょう。
ちなみに、このようなやり方は、リーンスタートアップと言われ、本も出ています。このような記事もあるので、参考にしてみると良いかもしれません。
ー西村 剛
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西村 剛
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