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From;西村剛
約3500社。
日本の上場企業数です。これは、このページに書かれた2017年8月15日時点の数字です。このような数字を見ると、改めてその数の多さに驚くことでしょう。そのほとんどが、一部上場ですが、それだけでも約2000社です。
やはり、これだけの上場企業数があると、全てをトレード対象にすることができないのが普通のトレード法や、もしくは投資法でしょう。だから、本来は価値がある企業なのに、株価がそこまで評価されていない企業に投資するバリュー投資が有効なのかもしれません。
彼らにとっては至難の業
私たちシステムトレーダーは、検証ソフトの段階で「全市場」と設定すれば、全市場が対象になりますし、東証一部と絞れば、東証一部だけを、隅から隅までを対象にしてトレードすることが可能です。
しかし、私たち以外の個人投資家は、いかがでしょうか?おそらく、それは至難の業でしょう。新聞の株価が出ている欄をみれば、一目瞭然ですが、あそこに掲載されている全てを覗くことは、なかなかできることではありません。
だから、私たち以外の個人投資家は、スクリーニングのソフトなどを使って、自分が思う銘柄があるか探すのかもしれません。いずれにしても、私たちのように上場企業の隅々までトレード対象にすることは難しいでしょう。
私たちにとっては「カンタン」
一方、私たちシステムトレーダーは、検証ソフトで設定するだけなので、上場企業の隅々までをトレード対象にすることができます。あなたの設定した売買ルールに合致するものがあれば、あなたが知っているか知っていいないかは関係なしに、シグナルが銘柄を抽出します。
そして、シグナルが出たら、私たちシステムトレーダーはシグナルの奴隷のごとく、シグナルに従い買ったり売ったりします。しかも、そのトレード期間は短いので、場合によっては、何を保有していたか忘れてしまうでしょう。もしくは、シグナル数が多いと、もう記憶できるレベルを超えて、記憶に残すことができないでしょう。
つまり、銘柄に固執することなくトレードし、着実に利益を積み上げるのが、私たちシステムトレーダーです。反対に、自分が知っている限定的な範囲で、銘柄に固執して利益を上げようとしているのが、私たち以外の個人投資家です。
彼らと私たち、どちらが優位性がある?
こうやって考えると、そもそもトレード対象の範囲が違うので、私たちと彼らでは、どちらに優位性があるかは、一目瞭然でしょう。
ただ、そのように優位性のある私たちシステムトレーダーですが、一つだけ注意しなければならないことがあります。
それが「スリッページ」です。
日の目を浴びない銘柄は・・・
スリッページとは、板の薄い銘柄を注目したとき、自分の注文で株価を動かしてしまうことです。いわば、セルフマーケットインパクトでしょうか・・・。やはり、私たちシステムトレーダーは、上場企業の隅々までトレード対象にできるので、他の人たちが見向きもしない「日の目を浴びない銘柄」でも、利益が上がりそうならトレード対象になります。
だから、システムトレーダーになりたてのシステムトレーダーによく起きることが、シグナルが出たのは良いのですが、
「こんな銘柄見たことがない・・・買って大丈夫か?」
「こんな銘柄見たことがない・・・この売買ルールおかしいのか?」
「こんな銘柄見たことがない・・・システムトレードって大丈夫なの?」
という疑問が出てしまうことです。
しかし、裏を返せば、それは売買ルールが有効に機能している証拠でもあります。以前のトレード法や投資法では、全く見つけることができなかった利益になる確率の高い銘柄が、こうやって見つけられるのです。
スリッページの原因
ただ、ここで問題なのが、日の目を浴びない銘柄ということは、それだけ注目度が低いので、売買される量が少なく、自分の発注で株価を動かす可能性があるということです。もう少し具体的に言えば、ある程度大きな資金を、その銘柄に投入したり、出来高が少ない時間帯に発注する引け成行注文を使う場合、このような「スリッページ」が起きりやすくなります。
ですので、特にデイトレード型の売買ルールを使っているシステムトレーダーは、このスリッページは、実感もあるでしょうし、一番注意するところでしょう。なぜなら、これが現実に起きてしまうと、検証結果で期待した利益を獲得できなくなってしまうのですから。
スリッページの回避法
では、どうすれば、このスリッページを回避できるか?せっかくですので、一つ方法をお伝えしましょう。その方法は、シンプルです。
トレード対象を「TOPIX100に採用されている銘柄」する方法です。
TOPIX100とは、東証が時価総額及び流動性が高い大型株100銘柄で構成されている株価指数です。この指数に採用されている銘柄は、他の銘柄と比べて株式を売買する際の値段の刻みが細かくなっています。つまり、値段の刻みが細かいため、ある程度の株数の注文を出してもスリッページが小さくなる傾向があります。
ただし、難点としては、対象銘柄が100銘柄しかないことです。全銘柄でのトレードと比較すると、どうしてもトレード回数が小さくなってしまいます。
しかしながら、これをトレード対象にすると、1銘柄に投入できる金額は通常よりも大きくできます。つまり、資金管理を上手く調整すれば、ある程度成績の良い売買ルールを作ることが可能でしょう。そして、実運用のときにスリッページを起こす確率も低くなるので、期待通りの利益を獲得できる可能性が高まるでしょう。
これは私たち特有の悩み
シンプルですが、このような方法でスリッページを回避することができます。ある種、これは上場企業であれば、全てを対象にできてしまう私たちシステムトレーダー特有の悩みかもしれませんよね。日の目を浴びない銘柄も、売買ルールに合致する動きをしていれば、それをトレードできてしまう。そして、そのトレードによって、誰も知らないうちに利益を積み上げてしまうからこその悩みでしょう。
ですが、これこそが私たちシステムトレーダーの真骨頂でもあります。ぜひ、他の個人投資家にはない、この優位性を活かしつつ、スリッページを回避しながら、着実に利益を積み上げていきましょう。
ー西村剛
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