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From;田村祐一
先日、アパートの施工管理を手掛ける「TATERU(1435)」が、顧客の預金残高を改ざんし、銀行に融資の申請を行っていたことが発覚しました。
問題発覚後から、わずか数日間で「TATERU(1435)」の時価総額は3分の1以下まで減少しました。
この件は、1企業の株価にとどまらず、下手をすると日本全体の経済に影響を与える重要な問題に発展する可能性もありそうです。
背景にある 個人不動産投資家の増加
ここ数年、景気が回復傾向にあることや、節税対策によって、個人によるアパート経営の参入も大きく増加し、不動産投資が活発化していました。アパート経営に参入する個人は、富裕層だけでなくサラリーマンやOLなどもおり、雑誌などでは、サラリーマン向けのアパート経営の特集もよく組まれています。
アパートの建設には、数億円の費用が必要になることから、当然銀行から資金を借り入れます。銀行は、借り入れの申請者の年収や保有資産をチェックし、融資可能かどうかを判断します。
融資可否の判断材料である預金残高が改ざんされているということは、融資の信用性がなくなることを指しています。なぜなら、もともと資産がないのに、資産があるように見せかけていることから、返済能力が低いということです。仮に、景気が悪化した場合には、返済が滞り、不良債権化する可能性が高いということです。
東証 1部上場企業である重さ
この改ざんを、東証1部上場企業が行ったということが、今回の問題の大きなところです。東証1部に上場する企業はコンプライアンスが厳しく、それが社会的な信頼性につながっています。
そのような信頼性の高い東証1部上場企業が今回のような改ざんを行っていることから、「TATERU(1435)」の同業者も同じような改ざんを行っているのではないかとの疑念が広がっています。ありえないとは思いますが、もしかすると業界的にそのような風習がある可能性は否定できません。
そして、この問題の根が深いのは、もしかすると銀行側も暗黙の了解で、改ざんを容認していた可能性です。
日銀のマイナス金利の導入によって、金利が低下し、金利収入が大きく減少しました。収益力が極端に低下するなかで、銀行は、法人と比較して金利を高く設定できる個人向けの融資に戦略的に注力していました。
個人向けの融資残高を増やすために、多少融資先の資産状況に難があっても、目をつむって無理矢理融資した可能性がありそうです。まさに、これを体現したのが、「スルガ銀行(8358)の不適切融資事件」でしょう。かぼちゃの馬車が顧客の預金残高を改ざんし融資の申請を行い、スルガ銀行側も改ざんを知りながら、融資を通したことで現在問題になっています。
そして、ここからは、私の推測でしかありませんが、今回の「TATERU(1435)」の預金通帳の改ざんは、氷山の一角でしかないと考えています。
そして、スルガ銀行ほど積極的ではないにしろ、改ざんを知りながら融資した事例が、他の銀行でもある可能性が高いと思っています。今後も、「TATERU(1435)」や「スルガ銀行(8358)」と似たケースは出てくる可能性はあり、そのたびに、不動産市況に悪影響を及ぼすでしょう。
今後の不動産関連銘柄は?
そして、今回のケースをきっかけに、金融庁が目を光らせていることから、銀行の住宅ローン審査が厳しくなることが想定され、来年以降の不動産販売に冷や水を浴びせる可能性が高いでしょう。
このような状況下では、不動産に関連する企業の株価は、苦しい展開となることが想定されます。不動産業界(林)の先行きが悪いと、どんなに個別企業(木)の業績が良くとも、買いたいと思う投資家は少なく、株価は軟調に推移する可能性が高いでしょう。
直近は、「TATERU(1435)」の問題をきっかけに、不動産関連銘柄の株価は他の業種と比較して調整の幅が大きく、一見すると逆張りのチャンスのように思えます。しかし、悪材料が出やすい中では、どこまで株価下落が続くかは未知数です。安易に、不動産関連銘柄に手を出すのは危険と言えそうです。
今は、不動産業界に厳しい目が向けられており、ある程度、この問題が他に飛び火しないかを確認できるまでは、不動産関連銘柄は一旦様子見スタンスがよさそうですね。まさに「君子危うきに近寄らず」でしょう。
―田村祐一
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田村 祐一



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