カブアンドは儲かる？

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ZOZOの創業者の前澤さんが、カブ＆ピース社という新しい会社を立ち上げて、カブアンドというサービスを開始したことで、メディアでもたくさん取り上げられて話題になっています。

Youtubeでもいろいろなインフルエンサーと前澤さんがコラボして出てこのサービスについて直接話をしていたり、かなり力を入れています。

このサービスは、電気、ガス、モバイル通信、インターネット回線、ウオーターサーバー、ふるさと納税といった生活インフラ関連サービスを提供するというもので、それ自体はとりわけ真新しいことではないのですが、特徴は、利用者は使った分だけカブ＆ピース社の未公開株を受け取ることができるということです。

例えば、楽天などは同じようなモバイル通信のサービスをやっていますが、これを契約すると楽天ポイントなどが付与されますが、そのポイントにあたるものをこの会社の未公開株をプレゼントするというものです。

その未公開株を、カブ＆ピース社が上場したら未公開株として付与された人は、上場後に大きく上昇して高く売れるというメリットがあります。

Youtubeなど各メディア、SNS、ではこのサービスは画期的ですごい儲かる仕組みだ、という人もいれば、やや懐疑的な見方をする人も多く、賛否両論と言った感じです。

一見するとなかなか面白い仕組みだなと最初は思いましたが、それと同時にこのサービスを見ていると、いろいろとわからないことや気になることが多く出てきて個人的にはかなり疑問があります。

まず、大前提として未公開株が付与されるので、肝心なカブ＆ピース社が上場されない限りは何もメリットがありませんので、上場が達成できるかどうか、ということがあります。ここはまず上場されるという前提でみたときに、気になるのは、上場後に買うのは誰か？ということになります。

上場前に未公開株を付与されるということで、今このサービスに入っている人は未公開株をもらえるというメリットでサービスに入っている人が多いと思います。

その人たちにとっては上場したことで、ようやく手にした未公開株を売れば利益になるので、上場後は未公開株から公開になった株を売りたいと思う人が多いでしょう。特に上場直後に大き値が付くようなら、十分利益は出ているので売ろうとする人も出てくるでしょう。

これから上場するまでにこのサービスに入って見公開株をもらった人たちは、上場されてからは利益確定したいので、売り方となります。

そのような売り方となる人たちが、上場までにこのサービスに入った人たちとなると結構な数になりますが、上場後にそれを上回る買い需要があるかどうかということです。

そもそもこのサービスに入ろうと思う人は未公開株を手にすることが大きな目的で、サービス自体は他でもっと安いプランがあり、（とくにモバイル通信）カブ＆ピース社のサービスの方が割高になりますが、その差を埋めるのがこの未公開株の付与ということになります。

上場前までなら、たしかにそれでも未公開株を付与されればメリットがあるかもしれませんが、上場後は未公開株はもう終わっているので、上場後からここを買っていく人は何をメリットとするのだろうか？というところです。

そうなると上場後は未公開株のような特典ではなく、サービスそのものの価値が株価に見合っているかというところだけが投資の判断基準になりますが、今のところそのサービス自体は他の会社より割高で、何か大きなメリットがあるようには見えません。

そうなると上場後高い株価が付いた場合、買い手がいない中、未公開株を持っている人たちのかなりが利益確定の売りを入れてきたとすると上場ゴールで寄り付き

から一気にナイアガラのように崩れるという可能性もあるのではないかと思います。

株価は買い手と売り手の需給で決まるので、そのあたりの需給のバランスが未公開株から上場、となった後に大きく偏ってこないかというのが懸念点です。

そして、基本的にこのモデルで成功するには、株価が右肩上がりで上がり続けることが前提となり、その株価を上げる材料が、サービスの価値云々というよりも

未公開株の付与だとすると、実体がないところでお金を動かすスキームのように見えてしまいます。

勿論そんなことはすでに考えられていて、これから具体的に株価を上げていくためのサービスの提案ができていて、徐々に出てくるのかもしれませんが、今の時点だとちょっとよくわからない、わからないものには手を出さない、ということになってしまいます。

もしかしたら、もっとすごい戦略がすでにあるのかもしれませんが、一旦今の疑問が解決できるまでは様子見かなと思っています。

現役システムトレーダー。売りと買いを組み合わせたデイトレード戦略に特化した独自のスタイルを確立し、安定的に利益を得ている。セミナー講師も務めており、いずれも好評。著書：暴落を上昇エネルギーに変える V字回復狙いの短期システムトレード (現代の錬金術師シリーズ)　出版社 : パンローリング

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