カーブフィッティングの罠 その3



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 前回までは、過去の相場の値動きの中であればうまくいくケースに特化した売買ルールになってしまってうカーブフィッティングの危険性について話をしてきました。

条件式が複雑になり、特殊な場合のみに売買を絞りすぎてしまうとそうなる可能性が高く、売買ルールをシンプルなロジックで作ることでこれを回避することができます。

ここまでが実行できて、バックテスト結果から良い資産推移曲線が得られたので、ようやく運用開始、と言いたいところですが、もう一つ重要な検証があります。

それが「フォワードテスト」です。

当たり前のことですが、バックテスト結果はあくまで過去の相場ではこうだったということなので、将来も同じようになるということを保証するものではありません。ただ、将来そうなるであろう確率としては、バックテストにより優位性が確認できたルールで売買することで、何もなく裁量でトレードするよりは高い確率でバックテスト結果と似たような傾向にはなるでしょう。

しかし、実際に運用を始めてみると、これまできれいな右肩上がりだった資産推移が急に横ばいになってしまうということもよくあります。その原因がやはりカーブフィッティングしているということになるのですが、そのカーブフィッティングしていないかを運用前に事前検証するのがフォワードテストです。

たとえば、2000年から2024年現在までの検証期間をとってバックテストをし、その結果良い資産推移曲線が得られたとします。

一方で2000年から2018年までの検証期間でバックテストをし、良い資産推移曲線が得られたので、その後2018年から現在値までの検証期間に伸ばしてバックテストをし、その結果良い資産推移曲線が得られたとします。

 

この2つの検証で、結果的に2000年から2024年現在までのバックテスト結果と資産推移曲線の推移は同じものになったとしても、その信頼性は全く違います。

1つ目の方は、2024年現在までを検証期間に設定しており、過去の情報全てを使ってできたルールになりますが、2つ目の方は、過去の情報としては2018年までの情報を使って検証してできたルールであり、そのルールを使って2018年以降現在までどうなったか、という将来の結果も併せて検証した結果になります。

この場合、2つ目の方が2018年までの情報からできた売買ルールで、その後も運用を行ったら同じような資産推移になったということになり、2018年以降(運用開始後)もそれまでのバックテストと同じような資産推移になるということを示しています。つまり、カーブフィッティングしている可能性が低く、過去の相場に特化したものになっていないため、その後も相場が多少変わったとしても影響を受けにくいということで、より信頼性の高い売買ルールであると言えます。

 

バックテスト結果現在値まで設定してしまうと、全ての検証データが過去になってしまうため、フォワードテストをすることができません。

検証期間は数年の期間を残して売買ルールを検証し、カーブフィッティングしていないかの最終確認として残りの期間でフォワードテストをするのが重要です。

 

カーブフィッティングに陥るリスクを排除し、長く使える売買ルールを作りましょう。

 

 

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korosuke

現役システムトレーダー。売りと買いを組み合わせたデイトレード戦略に特化した独自のスタイルを確立し、安定的に利益を得ている。セミナー講師も務めており、いずれも好評。 著書:暴落を上昇エネルギーに変える V字回復狙いの短期システムトレード (現代の錬金術師シリーズ) 出版社 : パンローリング

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