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「よしっ、買いのシグナルがけっこう出たぞ~。
今日は4銘柄か、昨日は2銘柄だったし、そろそろフルポジションだな。
いや~、これで儲かっちゃうな。
デへへ・・・笑いがとまらんな~~~~。」
な~んて、この数日間で思った方はいないでしょうか?
逆張りや押し目買い型の売買ルールを使っている
システムトレーダーの皆さんは、今まさにこんな状態だったでしょう。
さて、もしあなたが本当にこんな気持ちであれば、
一つ答えていただきたい質問があります。
その質問とは・・・
「あなたは、勝率100%を想定していませんか?」
ということです。
いかがでしょうか。
ぜひ、考えてみて下さい。
おそらく、、、システムトレーダーのあなたであれば、
検証の段階で、「勝率100%」が存在しないことが分かっていますので、
想定はしていないことでしょう。
仮に、100%なんて出たときには、
怪しさ満載です(笑)
日々熱心に勉強しているあなたであれば、
それはカーブフィッティングだとすぐに気か付くでしょう。
ちなみに、カーブフィッティングとは、
カンタンに言うと、自分の都合の良いように条件をそろえて検証してしまうことです。
一応、過剰最適化と日本語に訳しますが、分かるような?分からないような?ですよね。
とにかく、都合のよい条件化でしか、成立しない検証結果ということです。
さて、これを話すと1日は話せてしまうので、
ここで切り上げますが、、、
勝率100%は存在しません。
存在したときは、ある特定の条件化でしか、通用しないでしょう。
例えば、Aという銘柄が、○○と以上条件で、それと○○という条件で、
ニューヨークダウがこうなって、東証一部がこうなって・・・
などと、超がつく複雑な条件下でしか成立しないのです。
だから、システムトレーダーは、
たとえ、買いシグナルが出ても、
「全てが勝てるわけではない」
ということを知っているのです。
逆張りであれば、斉藤正章さんの本のタイトルではないですが、
「勝率80%」が、一つ目安かもしれません。
ということは、、、
裏を返せば「20%」は負けるのです。
10回試合をしたら、8回は勝てるが、2回は負ける計算です。
野球のピッチャーなら、けっこうな成績ですよね。
2ケタ後半は約束される投手です。
バッターだったら、とてつもない数字です。
8割バッターですよ。
今も、十分にすごいですが、全盛期のイチロー選手が
最高でも4割ですから、8割なんて、恐ろしい世界ですよね。
そして、ファーストリテイリング社長の柳井氏の本のタイトルにもなっている
「1勝9敗」
彼なんて、「勝率10%」ですよ。
でも、あれだけの業績を残しているのです。
色々と、他の世界の勝率を並べてみましたが、
とにかく「100%」は、存在していないのです。
しかも、負けがあっても、十分に記憶にも記録にも残る成果が上がるのです。
しかし・・・
人間とは、やはり欲の塊なのか、
とくに、トレードの世界とは、それが露骨にでているのか、
頭で分かっていても
「勝率100%」を求めてしまうのです。
システムトレード中上級者でも、若干怪しいですが・・・
初心者の方はもちろんのこと
心の片隅で、「勝率100%」を求めがちです。
例えば、この数日間で、逆張りや押し目買いで
買いシグナルが、いくつも出たと思います。
運用資金にもよりますが、100万円くらいの方であれば、
4~5銘柄程度でしょうか。
だから、これがいい感じに利益を上げて、
儲かることを期待しているかもしれません。
「よ~し、これが全部利益を上げれば、けっこういけるぞ!」と。
でも、悲しいかな現実は違います。
逆張りが勝率80%を目安にしましたので、それを基準に考えると、
この銘柄のうち、1銘柄は負けることになるでしょう。
もし、勝率がもっと低く、60%程度であれば、
2銘柄は負ける計算になります。
冷静に考えると、これは当然のことなのです。
しかし、、、
なぜか、人間というのは、いざその場面に出くわすと、
欲が出て、勝率100%を求め、買い付けた銘柄すべてが勝てると思ってしまうのです。
しかも、
その気持ちが災いして、勝率100%を求めていたぶんだけ、
1銘柄でも負けると、
「あれ~、おかしいな。シグナルって勝てる銘柄を教えてくれるんじゃなかったの?」
などと思ってしまうのです。
まだ、これくらいなら良いのですが、
この状態が続くと、
「ん?また負けが出たぞ、シグナルって嘘か?」
となり、
また続くと、
「あれ?何だか損失が増えてきてないか?シグナル、どうなってる?」
となってしまうのです。
こうなったときは、危険信号です。
そろそろ、シグナルを無視する気持ちにスイッチ仕掛けている状況です。
もし、あなたが今後、
このような気持ちになってしまったら、もう一度考えましょう。
「自分は勝率100%を求めてないか?」と。
以前、斉藤正章さんも言っていましたが、
「逆張りのシグナルが大量に出たからといっても、必ず勝てるわけではないです。
もちろん、私も負けたことはありますよ。でも、勝率100%はないから、しかたないですよ。
そんなときもあるってことですよね。」
まさに、これなのです。
これには、もう一つ続きがあります。
「負けるときもありますが、反対に勝つときもあります。
ただし、買い付けた銘柄がすべて勝てるわけではありません。
あくまでも、買い付けた銘柄全体で利益を出す発想でいます。」
こうも言いました。
これ、うまく伝わりましたか?
きっと、分かりやすいのが先ほど例に出した
ファーストリテイリング社長の柳井氏の
「1勝9敗」
の発想でしょう。
平均的に見て、柳井氏はビジネスにおいて成功者です。
でも、彼はこれまでに数多くの事業に失敗しています。
それこそ、いまは再進出しましたが、海外出店は、一度は失敗に終わりました。
また、玉塚氏という若い人材を次の社長に指名しつつも、断念しました。
他にも、ユニクロブランドができる前の量販店時代も、鳴かず飛ばずの状況でした。
でも、その損失を隠すくらいの
フリース
シルキードライ
ヒートテック
などなど、誰もが持っているようなヒット商品をだすことで、
表向きでは「成功」と言える企業になっているのです。
だからこそ、彼は著書の中で、
「1勝9敗」
という言葉を使っているのです。
過去の自分はすべてが上手くいっているものではないと。
しかし、たった1勝で挽回できるように、毎回努力していると。
つまり、システムトレードも全く同じ発想なのです。
さすがに、1勝ですと、勝率10%ですので精神的に厳しいですが、
やはり、保有する銘柄に勝ち負けがあって、全体で利益を出す発想でいなければならないのです。
だから、資金量にもよりますが、
銘柄数は、少なくとも5銘柄以上、もしくは10銘柄以上にするのがよいでしょう。
これは完全にダメな例ですが。。。
身内ですので、言いますが、
ウチの秋山が
「西村さん、シグナルが出ましたが、資金の50%くらい使えば買えます。いっていいですか?」
と言いました。
これは絶対にしないでくださいね(笑)
資金の半分を1銘柄につぎ込んでは、
分散がほとんどできなくなってしまいます。
もし、これでこの1銘柄が負けたら、最悪ですからね。
だから、これはマネしないで下さい。
話は長くなりますが、最後にこの分散する銘柄数の目安を
具体的にお伝えしておきましょう。
目安は、
検証において、1トレードあたりの損失額が、
運用資金の2%(多くても5%)までを目安に考えておくと良いでしょう。
だから、秋山の50%は論外ですね(笑)
この考え方は、アメリカの常勝トレード集団といわれる
「タートルズ」での考え方です。
彼らは、資金管理のノウハウが素晴らしいことで有名です。
だから、その彼らのノウハウをマネすることは良いと思います。
仮に、運用資産300万円の場合、1トレードあたりの損失額を
運用資産全体の2%の「6万円」までに収められるように、調整するとよいでしょう。
ですので、ぜひあなたの売買ルールも一度確認してみて下さい。
もし、この2%に収まっていない場合は、
分散が適度にならない可能性があります。
そうすると、全体で勝つ発想もうまくいかず、
負けになってしまう可能性があります。
ちょっとしたことに見えるかもしれませんが、
このちょっとしたことが非常に重要です。
もし、全体で勝つことが上手くいっていないのであれば、
このあたりの調整が上手くいっているか確認するのもよいかもしれませんね。
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西村 剛
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