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From;西村剛
4000回。
これは、トップ1%に入るシステムトレーダーが、一つの売買ルールを作成するのに行う検証回数です。ただ、この回数で「もう改良の余地がない」というところまで辿り着くわけではありません。
もちろん、他の人から見れば、十分に素晴らしい完成度なのですが、やはりトップ1%に入るシステムトレーダーは違います。それだけの検証回数をこなしているのです。
3999回はムダ?
でも、これは裏を返せば「3999回」は上手くいかなかったということです。たった1パターンの最高の結果を探すために、3999パターンもの組み合わせを試します。そして、このパターンが上手くいかなかったら、次のパターンと追求した結果、このような回数になるのです。
しかし、この3999回という回数を聞くと、あなたは「なんて非効率でムダなことをしているのだろう」と思いうかもしれません。もし、あなたがそう思うなら警告します。その警告の理由は、この記事に書かれていた通りです。
やはり、良い結果に辿り着くまでには、必ず通らなければならないプロセスがあり、一見ムダに見えるものも、決してムダではないということです。もう少し深い話をすれば、結果、つまり売買ルールが完成するまでには、3つの大きなプロセスがあります。
プロセス.1:正しい見方(考え方)
1つ目のプロセスは「正しい見方=正しい考え方」です。例えば、このだまし絵のように、同じものでも若い女性の後ろ姿に見えたり、老婆に見えたりします。このように、どこに視点をおくかによって、この絵の理解や解釈は変わります。
もう一つ例を挙げれえば、検証回数4000回と聞くと「えっ、まだそれでは足りないでしょ」と思う人もいれば、「それが妥当だ」と思う人もいれば、「とてつもなく多い」と思う人もいるでしょう。
このように、一つ目のプロセスは、「今作成している売買ルールに対して、正しい見方や考え方」をしているかということが必要になります。つまり、分かりやすい例で言えば、検証回数をどう捉えるかということでしょう。
プロセス.2:正しい見方(考え方)による正しい行動
そして、2つ目のプロセスは「行動」です。これは、売買ルールを作成するために検証するという行動のことです。ただし、ここで重要なのは、1つ目の「正しい見方=正しい考え方」が関係してくるということです。
必ずしも回数をこなせば良いというわけではありませんが、もし、あなたが4000回は、ムダだと判断すれば、きっとこの回数を大幅に減らし、「ショートカット」を試みるでしょう。上手くいかない3999回は、ムダな検証とみなし、非効率だと決めつけ、ムダを省こうとする行動に出るでしょう。
ではこれをふまえて3つ目のプロセスです。
プロセス.3:正しい行動から得られる結果
3つ目のプロセスは「結果(もしくは習得)」です。これは、スキルなどであれば習得のことです。ただし、私たちはシステムトレーダーですので、習得の意味合いもありますが、実運用で利益が出たか出ないかの結果と表現したほうが良いでしょう。
良い結果が得られないということは…
まとめると、「正しい見方(考え方)」をして「行動」すれば、良い「結果」が出るというのが、この3つのプロセスです。クルマの運転で考えれば一目瞭然だと思いますが、「正しい運転知識や交通ルルールの理解」で「運転」すれば「無事故」だろうということと同じです。しかし、これが「間違った運転知識と間違った交通ルールの理解」で「運転」すれば「事故」になる確率は高いでしょう。
つまり、この3つのプロセスは、もちろん1つ目の「正しい見方=正しい考え方」が重要ですが、どこか1つのプロセスでも、正しい方向に進んでいなければ、全体がちぐはぐして、良い結果が得られないということです。
だから、この検証回数の話を3つのプロセスに置き換えると、「正しい検証回数の知識や理解」によって「検証」すれば「利益が上がる」ということです。しかし、「誤った検証回数の知識や理解」でいると、その知識や理解が、本来通るべき道を誤った判断で「ショートカット」してしまい、「良い結果が生まれない」ということです。
このように考えると、この4000回という検証回数を、あなたがどう捉えるかで大きく結果が変わってしまうということでしょう。でも、突き詰めると、この4000回の検証も単にすれば良いというわけではありません。やはり、質の高い4000回をしなければなりません。
根本を正すと、結果的に…
そこでオススメなのが、結果的に売買ルールの開発の「時間を短縮するアイデアの出し方」です。例えば、あなたが新しい売買ルールを開発しようとしているとしましょう。そのとき、あなたはまず何から始めるでしょうか?
私はこのようなことから始めています。それは「日経平均株価やTOPIX」を使ってある程度条件式を絞り込む方法です。
例えば、デイトレ型の売買ルールを開発する場合、トレード対象を日経平均株価だけで検証します。そして、有効性が確認できた段階で、全銘柄にトレード対象を拡大します。
実は、このような方法を取ることで、結果的に時間短縮につながります。同時に、カーブフィッティングのリスクも小さくできます。
システムトレーダーの中でも、上級者になる前の段階の場合は、売買ルールの開発方法が上手く確立していない場合が多くあります。その場合、検証回数4000回と聞いて、いきなり回数をこなすのではなく、このような方法で、確度の高いアイデアを作り、それを改良していくことが有効です。
そうすることで、結果的に質の高い検証を何回もすることができるので、完成に辿り着く前の検証は、全て失敗ではなく「このパターンでは上手くいかなかった」ということになります。ですので、完成前の3999回は、完成までに必ず必要なプロセスで、正しいアイデアのもと、正しい行動を取るので、良い結果を得ることができます。
アイデアが良ければ、自ずと結果も…
また、アイデアが根本的に有効でない場合、腐った食材にどれだけ味付けしても美味しいものにならないように、どれだけ検証を重ねても、良い結果は得られません。しかし、根本的に有効なものであれば、磨けば磨くほど良い結果に近づきます。
そうすることで、本当の意味で、最短ルートで売買ルールの完成に近づくことができるでしょう。概念的な話が中心でしたので、少々分かりにくいかもしれませんが、あの3つのプロセスに、あなた自身を置き換えてみると、色々見えてくると思います。
もし、今良い結果が得られていないのであれば、このプロセスのどこがチグハグしているのか考えてみると良いでしょう。
ー西村 剛
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