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From;西村剛
「押し目買い型の売買ルールを何種類か作ろうと思い、今取り組んでします。
でも、なかなか上手くいかないと言いますか…どうやったら上手くいくのかが分かりません。
何か気をつける点はあるでしょうか?」
先日、このようなご質問をいただきました。この質問ですが、システムトレーダーの中でも賛否両論と言いますか…「あっ、確かに知りたい」というシステムトレーダーと、「えっ?なぜ、同じ売買ルールを増やすの?」という両方のシステムトレーダーがいるでしょう。
同じ売買ルールを増やす有効性は?
もちろん、この両者はどちらが良い悪いということはありません。どちらも正しい反応です。ただ、このご質問の回答をする前に、一つだけお伝えしておくと、「えっ?なぜ、同じ売買ルールを増やすの?」と思ったあなたには、ぜひお聞きいただきたいことがあります。
通常、複数の売買ルールを作成し、組み合わせて運用することを想定すると、この『マルチストラテジーの教科書』に詳細が書かれているように、タイプの違う売買ルールを組み合わせるでしょう。だから、例えば、ここに掲載されているような5つの最強の戦略を組み合わせることが王道であり、選択肢としては良いでしょう。
多くのシステムトレーダーがする「間違い」…
ですが、この組み合わせて運用する際、誤解してはいけないことがあります。もしくは、このような方法を運用しようとするシステムトレーダーの多くがある「間違い」があります。
それは、タイプが違う売買ルールの組み合わせとは、結果的に、、、
「シグナルが出るタイミングが違う売買ルールの組み合わせ」
になるということです。
実は、こんな組み合わせ方が…
ですので、実は逆張り戦略と順張り戦略のように、全く性質の異なる売買ルールを組み合わせることだけが方法ではないのです。例えば、同じ逆張り戦略でも、買い付けのタイミングをずらした複数の逆張り戦略を組み合わせるのも方法です。または、最近よく話しますが、「浅い」逆張り戦略と「深い」逆張り戦略を組み合わせるのも方法です。
このように、同じ性質の売買ルールを組合せせても、シグナルが同じタイミングででなければ、組合せて運用することが可能であり、効果的なのです。
そうそう、一つ補足ですが、シグナルが重なってしまうと、売買ルールは組合せせても意味がありません。お互いに、それぞれの売買ルールの良さを殺してしまうので、組み合わせるよりも単体で運用したほうがよほど、良い結果が出るでしょう。
特に、上級者になると、同じ性質の売買ルールでも、シグナルが重複しないものを作成し、運用していることが多く見られます。そういった意味でも、この方法が効果的であることが分かるかもしれません。
シグナルを重複させない方法
では、具体的にどうすればよいか?最後に、その方法をお伝えしましょう。その方法とは、、、
「できるだけ同じテクニカル指標を使わないこと」
です。
例えば、一方の押し目買い戦略を、移動平均線で作成したとしましょう。その場合は、もう一方で、できるだけ移動平均線を使用しないようにします。株価位置など、別のテクニカル指標を使うようにします。
やはり、同じテクニカル指標を使うと、買い付けのタイミングの判断などが、似てきてしまうでしょう。仮に違ったとしても、わずかな違いで、シグナルを重複させないことが、非常に苦労してしまうでしょう。反対に、違うテクニカル指標を使えば、やはり買い付けのタイミングの判断などが違ってくるでしょう。そうなれば、同じテクニカル指標を使うときよりも、シグナルが重複することは少なくなるでしょう。
このように、論理的に考えれば当たり前の話なのですが、同じタイプの売買ルールを複数作ろうとすると、案外見落としがちな話です。また、それもありますが、先ほど言った多くのシステムトレーダーが「間違える」ことにハマってしまっている場合があります。
シグナルの隙間を埋める売買ルールは?
これは直接の回答にはならず、あくまでもヒントになってしまいますが、あの斉藤正章さんは、組み合わせる売買ルールを考えるとき、何と何を組み合わせたいという願望から入るのではなく、こういった視点から組み合わせを考えています。
「シグナルの隙間を埋める売買ルールはなんだろう?」
この視点です。おそらく、この発想は結果的にはシグナルが重複しないようにするので同じに見えるかもしれません。しかし、よく考えると、組み合わせたいという願望ではなく、この隙間を埋める売買ルールは何かという部分から考えているので、結果的に「このタイプの売買ルール」という発想ができてきます。
ですが、多くのシステムトレーダーは、これとこれを組み合わせたいという願望ありきで組み合わせをする傾向があります。そうなると、やはりどうしてもシグナルの重複が避けられなかったり、避けるとして非常に大変なことになったりするでしょう。
正しい発想が望む結果を生む
ただし、これは同じタイプの売買ルールを初めから作ろうとしていることを否定していることではありません。ただ、発想として、このように考えることで、見えてくるものが違うということです。
押し目買い戦略を複数作りたいという願望から入ってしまうと、どうして見落としがちなワナにハマり、お同じテクニカル指標を使ってしまうでしょう。しかし、発想が「シグナルの隙間を埋める」ことから始まれば、おそらく、その過程で、同じテクニカル指標では厳しいことに気がつくでしょう。
つまり、このように一見同じことに見えても、プロセスの開始点がどちらかで得られる結果が全く違ってきてしまう可能性があるということです。
以前、お話したことがあるかもしれませんが、「正しい思考」が「正しい行動」につながり、正しい行動が「望む結果」を得ます。反対に、「間違った思考」は「間違った行動」につながり、間違った行動が、「望まない結果」を生みます。だから、このちょっとした発想の違いが、結果に影響するのでしょう。
でも、今回のお話で、あなたの思考は正しいものになりました。ということは、この思考で進めば、正しい行動につながり、それが望む結果につながります。ぜひ、今回の内容を参考に、同じタイプの売買ルールを効率良く作成し、結果につながるようにしていきましょう。
ー西村剛
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