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From;斉藤正章
新年あけましておめでとうございます。
昨年は株式市場だけをみれば、日経平均は大躍進の上昇相場でした。しかし、周りの投資家・トレーダーの方の話を伺っていると、2017年の相場は難しくてあまり利益が出なかったという方が大半のようです。
昨年は苦戦の年
その例にもれず、当の私自身も昨年はほとんどトントンで終わりましたので、たしかに多くのシステムトレーダーを苦戦させた年だったといっていいでしょう。一方で、全体としては少ないながらも、それなりの利益をあげることができたという方もいました。昨年の相場で利益をあげることのできた人の特徴をみていくと、主に2つのパターンがみられます。
昨年利益を上げた人は?
まずひとつのパターンは、相場の素人です(笑)考えてみれば当たり前のことなのですが、昨年は年初から年末にかけて日経平均が大きく上昇していますので、「結果的に」は買ったまま保有し続けた人のほとんどが利益になっているわけです。
そしてもうひとつのパターンは、順張り系の戦略の比率を高めに売買していた人たちです。順張り系というと、基本的には「●日の高値を更新したら買い」、「●日の安値を更新したら売り」というトレンドの流れに沿った売買をする戦略のことですね。このような戦略を中心に売買していた人たちも「結果的に」ほとんどの人が利益になっています。
この言葉に注目!
お気づきの方も多いと思いますが、昨年の相場で利益になった人のパターンを説明するとき、意図的に「結果的に」の部分を強調しています。
何が言いたいかというと、先述した2つのパターンの人たちが他の人たちよりも利益をあげることができたのは、株式市場が「結果的に」上昇相場になったからであって、もしもまったく異なる相場になっていた場合には、利益をあげた人たちのパターンもまったく異なるものになっていたはずだということです。
しかし、結果的にそうなっただけとはいえ、やはりどのような相場でも利益をあげたいというのは誰しもが思うところです。そのような場合にはどのような方法が思いつくでしょうか?
今年の選択肢.1
まず初めに思いつくのは、単純に順張り系の比率を高めて売買することです。ほとんどの人は複数の戦略を使って売買していると思いますが、順張りの比率を高めにすることにより、上昇相場ではほぼ確実に利益をあげることが可能になります。
ただし、この方法には、「上昇相場以外の利益は減ってしまう」という大きなデメリットがあります。順張りは基本的に、利益の割には買ってから決済するまでの保有期間が長いため、他の戦略で売買する機会を奪ってしまうという特徴があるからです。
そのため、この方法を用いる場合には、トータルの利益は犠牲にしても上昇相場で確実に利益をあげたいという割り切りが必要です。
今年の選択肢.2
ふたつめの方法は、売買に使用している各戦略を昨年の相場で利益が出るように調整することです。この方法はあくまでも「直近の利益」を優先して考えているため、昨年の利益が良くなるように調整すると、それ以前の利益は悪化するのが普通です。
直近の利益も向上し、さらに過去の利益(トータルの成績)も向上するのであればもちろん取り入れるべきですが、その場合は単に今までの作りこみが甘かっただけということになります(笑)
今年の選択肢.3
そして最後に3つめの方法ですが、何もしない(改良しない)という方法です。これは今まで使ってきた戦略は正しいということを信じて、直近の成績が悪くても今まで通り売買を続けるという選択肢になります。
あくまでも今年はたまたま相場の動きに戦略がかみ合わなかっただけであり、使っている戦略は間違っていないという確信が必要です。
あなたの今年の選択は?
この3つの方法の中でどれが正しいかというのはひとまず置いておいて、ひとつめとふたつめの方法には、「トータルの利益を犠牲にする」という共通のデメリットがあります。そのデメリットを承知のうえで採用するのはかまわないと思いますが、私たちシステムトレーダーとしては3つめの選択肢も検討すべきではないでしょうか。
というのは、昨年の相場に合わない戦略が多かったのは、日銀がETFを購入することにより、株式市場が人工的な動きをしていたのが大きな理由だからです。当然、過去の統計を根拠に売買するシステムトレードは、株価が過去にないイレギュラーな動きをすることは苦手とします。
株式市場の傾向が明らかに変化した場合(新興市場が創設されたなど)には対応する必要がありますが、一時的な株価の動きに惑わされて、せっかく長期的な視点で作った戦略を変えてしまうのはあまり正しい方法とは言えないと思うのですがいかがでしょうか?
ー斉藤正章
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