下落相場で上手くいかない代表的2つのパターン



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From;斉藤正章

昨年の株式市場はまったくといっていいほど急落のない相場でしたが、今年に入ってからは2月にようやく急落といえる動きがありました。

2013年あたりから長らく続いた上昇相場が終わったのかは未来になってみないとわかりませんが、上昇相場が終わる前には必ずこのような兆候があるため、少なくとも以前よりは下落相場に突入する可能性が高まったとはいえそうです。

下落相場ではかなり事情が変わる…

通常、上昇相場においてはそれほど大きく損をするということはありませんが、下落相場ではかなり事情が変わってきます。たとえば、上昇相場で比較的活躍する「順張り(買い)」や「押し目買い」などのルールは上手く利益をあげれらなくなり、逆に「逆張り(買い)」などは活躍の場が増えてきます。

利益が出ないだけならまだいいのですが、ときには大きな損失を被る可能性があるので注意が必要です。そこで今回は、下落相場における対処方法についてお話したいと思います。

下落相場で一番気をつけないといけないこと

下落相場において一番気を付けなければならないのは「各ルールごとの相性や組み合わせ」です。ほとんどの方は、1種類の売買ルールだけで運用しているわけではなく、複数のルールを組み合わせて運用しているものと思います。しかし、売買ルールどうしの組み合わせが悪いと、単体では成績が良いのに組み合わせると上手くいかないということになりかねません。

考えられる悪いパターン

例として、考えられるパターンを2例あげてみましょう。

①直前まで上昇相場だったため、順張りで買った銘柄をたくさん保有している状態で株式市場が暴落!逆張りで買い付ける余力がなく、さらに順張りでも大きな損失が出てしまった。

②下落相場の途中で押し目買いのシグナルが大量発生したため、押し目買いで余力を使い果たしたが、その後に株式市場が暴落!逆張りで買い付ける余力がなく、さらに押し目買いでも大きな損失が出てしまった。

どちらの例にも共通しているのは、暴落が発生した逆張りの絶好機に資金の余力がないということです。年に1、2回あるかの暴落では逆張りで大きく資産を増やすチャンスにもかかわらず、損失を抱えている上に買い付ける余力がなく、指をくわえて見ているだけというのは非常にもったいないといえます。

悪いパターンを回避する方法

このような状況を招かないためには、概ね2種類の方法があります。まず①についていえば、急落が発生したときには素早く決済できるようにしておくということです。

以前の記事を見ていただいた方はすでにご存じかと思いますが、「日経平均が前日比で●%以上の下落をしたら決済」という具合に、強制決済のルールを入れておけば、株式市場が急に暴落した場合でも余力がないという状態は回避することができます。ただし、強制決済のルールを入れることによって、かえって成績が悪化する(利益が大幅に減る、ドローダウンが増える)ようなことがないかは売買ルールごとに確認が必要です。

②については、「買い付ける金額を制限する(余力を残しておく)」ということがポイントになります。押し目買いのようなルールの特徴として、浅めの下落は得意だが、深い下落(急落)は苦手というのが一般的です。そのため、押し目買いで資金一杯まで買い付けた後に株式市場が暴落したりすると、大きな損失を出す可能性が高くなるのです。これを回避するには、どうしても一定の余力を残しておくという対処が必要になります。

仮に押し目買いのルールに「運用資金の50%以内までしか買わない」という条件を加えると、最低でも残り50%分は資金の余力があるため、買い付けた後に暴落相場があったとしても、逆張りのチャンスに余力がまったくないということは起こらないわけです。

トータルの視点で対応する

もちろん、①と②のどちらの対処法とて完璧ではありません。急落時に順張りを決済した直後、すぐまた上昇相場に戻ってしまうということもありえますし、押し目買いの買い付け金額を制限することによって利益が減ってしまうこともあるでしょう。

とはいえ、システムトレードはあくまでもトータルでみたときに良いか悪いかで判断することが重要です。とくに下落相場ではたった1度の大きなドローダウンが致命的になることもあります。先述した方法でトータルの利益が増えたり、下落相場でのドローダウンが軽減されるのであれば、取り入れる価値は大いにあるのではないでしょうか。

ー斉藤正章

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斉藤 正章

2001年に元手30万円で株式投資を開始。当初は苦戦するも、2003年1月に独自のシステムを開発してから常勝トレーダーとなり、2006年に1億円を達成した後も安定した運用を続ける。勝率80%の逆張りシステムを中心に数種類のシステムを使い分ける。