システムトレードの達人への第一歩「ブレイクアウト」の検証に挑戦!

森下千里
すごい。これは、何でしょうか?
斉藤正章
これは、単純なブレイクアウト(順張り)と呼ばれるものです。説明すると「過去120日間の高値を更新した場合に、対象となる銘柄を買います。反対に、過去の安値を更新した場合に売ります。」という単純な方法です。そうした場合に、結果はこのようになります。
森下千里
「高値を更新した場合に買って、安値を更新した場合に売る」というと、それは損しませんか?
斉藤正章
言葉だけですと、そう感じるかもしれません。実は、違うのです。一度、ブレイクアウトを検証してみましょうか。今回は、10銘柄で検証してみます。確かに、普通に考えると、上がっているときに買って、下がっているときに売ると損するような気がしますよね。
森下千里
そのような気がします。
斉藤正章
そうですよね。ところが、必ずしもそうでもないのです。10銘柄ですと、銘柄数が少ないので、もしかしたら損してしまうかもしれないですが、過去120日でブレイクアウトを設定してみましょう。

営業日で日数を数えますので、6ヶ月ほどの期間が対象となります。この期間で、高値を更新したときに買います。反対に、売りは半分ぐらいの60日間の安値を更新したら売ります。
森下千里
斉藤正章
今回の検証は、単純に「標準モード」でやってみましょう。今回も10銘柄を対象に検証しています。一応、儲かっていますね。
森下千里
あれ?なぜでしょうか?
斉藤正章
不思議ですか?
森下千里
不思議です。

利益がでると思ったのに「損をしてしまう・・・」その理由を解明しましょう!

斉藤正章さん
斉藤正章
では、いったん整理しましょう。これは一般的に勘違いしやすい話です。語弊があるかもしれませんが、素人の人は「なぜ、損をしてしまうか」の理由についての話です。その理由は「上がっているときに、売ってしまうから」です。実は、上がっているときは、売ってはいけないのです。つまり、上がっているときではなく、下がっているときに売るのです。では、その理由をご説明しましょう。チャートで書くと分かりやすいかもしれません。
例えば、株価が色々動いて過去の高値がこの部分だったとします。このときであれば、ここを抜けたときに買いますよね。ただし当然、過去60日間の安値がここを抜けて、こうやって売ったら、この分だけ損をしますよね。
森下千里
損します。なるほど。
斉藤正章
では、もう一つのパターンを見てみましょう。過去と同じように高値を抜けて、ここで買います。凸凹を繰り返したところ、ここで初めて安値を抜けました。すると、もしかすると、2倍とか3倍になっても、ずっと保持したままになってしまうのです。よって、勝率は低くなるのです。
斉藤正章さん
森下千里
その通りですね。儲かっているときに、売ってしまってはいけないですよね。
斉藤正章
そうなのです。勝率は40%です。要は、40%ということは、負けている回数のほうが多いということです。初心者の方は、勝率を見る傾向があるのですが、本来は全く関係ないのですよね。勝率は、勝ったときと負けたときの利益が同じの場合は、勝率51%以上で儲かることになります。実際、株式投資で勝っている人というのは、負けているときに小さく負けて、勝っているときに、大きく勝ちます。つまり、勝率は意外と低いのです。
森下千里
確かに、それは良く耳にします。反対のことで言えば、小さく利益を積み重ねて何回も勝っても、一度、大きく負けると、勝率が高くても、全く得しないことになるわけですね。
斉藤正章
そうです。だから、勝っている人は、勝率40~50%の人が多いのです。初心者の方は、勝率が非常に高いことが比較的多いです。理由は次の通りです。例えば、10%儲かったとします。そして、売ります。しかし、反対に利益がでていない場合は、株価が半分や3分の1になっても、売却しないままでいます。結局、勝ったものしか売らないので、勝率は90%ぐらいに落ち着くものなのです。しかし、プロの投資家と呼ばれる人々は、勝率は40%程度なのです。このような事実があるにも関わらず、皆さん勘違いしてしまうのです。
森下千里
私も今では利益がでていても、簡単に売らないように投資スタイルを変えています。本当は売って、利益を確定したいというのが本音です。とはいえ、損は確定させたくないという気持ちも多少、ありますが。
斉藤正章
そうですね。ただし、どこかで売らなければならないのですね。よって、「どこで売るか」のルールが必要となるのです。
森下千里
そうですね。分かっていても、決められないですね。一応、売るタイミングは決めてはいますけど、守るのは本当に辛いです。
斉藤正章
確かに、そうですね。そうなると、株価が上がっているときではなく、安値を割るときなどを基準にしないと、なかなか決められないのです。
森下千里
本当に、難しいです。おっしゃる通りなのですよね。
斉藤正章
例えば、先程のように「下がっている銘柄」を買う場合は、一時的な反発を狙って売買するしかないので、少し上がったら売る。もしくは、期限を決めておく。具体的には、「買ってから10日、経過したら必ず売る」などです。

反対に、「上がっている銘柄」を買う「順張り」の場合は、まだ上がっている途中なので流れに逆らわないで保持します。そして、過去の安値を割ったときに売ります。そのため、回数としては負けの方が多くなります。しかし、勝つときは、何十回に一回でも「2~3倍」や、高いときは「10倍」くらいの儲けの可能性があるのです。

これをよく見ると分かりますが、勝ったときの利益を平均すると、約29万円になります。負けたときは、平均13万円しか負けないのです。よって、勝率は40%程度ですが、勝ったときの利幅が大きいので、40%でも十分儲けることができます。「順張り」の場合は、売らないで保持していた方が、投資成績が良いのです。
森下千里
本当に、そう思います。
斉藤正章
つまり、このように過去のデータをもとに検証すると、次のようなメリットがあります。この先、へこみ(運用資産の減少)はあるものの、これは一時的なものなのか、そうでないものなのかの判断がつきます。そのようなことが理解できていると、何年も続けることができるようになるのです。
森下千里
大変勉強になりますね。
斉藤正章
冒頭にも申し上げましたが、だからこそ、業績等の情報を一切無視して機械的に投資をすることができるのです。
森下千里
そうですか。やっと、最初に斉藤さんがおっしゃった意味が分かりました。しかし、やはり疑問は残ります。本当に、チャートだけで見るということのなでしょうか?
斉藤正章
簡単に言えば、そうですね。テクニカルです。
森下千里
感情を入れないということは重要なのですね。
プロフィール
森下千里
森下千里もりした ちさと
1981年愛知県生まれ。
雑誌やバラエティー番組、舞台などひっぱりだこの人気タレント。
趣味はカレー作り、お菓子作り、ゴルフ、ゲーム、株!
昨年ファイナンシャルプランナー3級、マネーマネジメント1級取得。
現在カレー店『芸能人 カレー部』を各地で営業中!http://www.currybu.jp/
オフィシャルブログ:
http://ameblo.jp/morishitachisato/
斉藤正章
斉藤正章さいとう まさあき
1975年東京生まれ。
デザイン系専門学校を卒業後、システム開発会社に就職。プログラマー兼システムエンジニアとして8年間勤務。
2001年に元手30万円で株式投資を開始。当初は苦戦するも、2003年1月に独自のシステムを開発してから常勝トレーダーとなり、2006年に1億円を達成した後も安定した運用を続けている。勝率80%の逆張りシステムを中心に数種類のシステムを使い分ける。
著書に『株 勝率80%の逆張りシステムトレード術』『斉藤正章の株 両立80%の逆張りシステムトレード実践テクニック』(日本実業出版社)がある。
西村剛
西村剛にしむら つよし
財閥系運用会社にて、国内株式中小型株アナリスト兼ファンドマネジャーを経験。年間200社程度の経営者に取材を行う。
2005年フェアトレード株式会社代表取締役就任。
2009年「システムトレードの達人」を使って、株式戦略マル秘レポートを連載中。
著書に『実践 空売りトレード』(明日香出版社)がある。